心に残る名曲  その百九 グレゴリオ・アレグリ 「ミゼレーレ」

アレグリ(Gregorio Allegri)は1582年生まれのイタリアの司祭、歌手、そして作曲家です。聖歌隊の一員として音楽を学びます。やがて誓願をたててアドリア海に面するフェルモ大聖堂(Duomo di Fermo)より聖職禄にあずかります。誓願とは、神に清貧、貞潔、従順の三つの誓いをたて聖職に就くことです。フェルモにおいて数多くのモテットやその他の宗教曲を作曲します。やがてヴァティカン(Vatican)のシスティーナ礼拝堂(Cappella Sistina)聖歌隊にコントラルト(contralto)歌手の地位を得て1629年から没するまでその地位に就きました。コントラルトとはテノールよりも高い音域のことです。

 彼の作品には、5声のための教会コンチェルト、6声のためのモテット集、声のシンフォニア、その他ミサ曲や預言者エレミア(Jeremiah)の哀歌、さらに没後発表された沢山のモテットがあります。教会コンチェルトとは、オルガン伴奏などの楽器伴奏による宗教的声楽曲のことです。モテットは、イタリア初期バロック音楽の影響のもとで通奏低音を伴い、少人数での歌唱で歌われます。

アレグリは弦楽合奏のための作品を作曲した初期の作曲家の一人といわれます。また弦楽四重奏曲の初期における重要な作曲者とも考えられています。システィーナ礼拝堂聖歌隊のために書いた声楽作品は、パレストリーナ様式を受け継いではいますが、単純な様式とはいえ一切の装飾が排除されています。

群を抜いて有名なのが「ミゼレーレ(Miserere mei Deus)」です。アレグリの傑作といわれます。「神よ我を憐れみたまえ」という旧約聖書の詩篇第51篇(Psalm)から採られています。「ミゼレーレ」では、合唱の一方は4声、もう一方は5声からなる二重合唱のために作曲されています。合唱団の片方が聖歌の「ミゼレーレ」の原曲を歌うと、離れたところに位置するもう一つの隊員が、それに合わせて装飾音型で聖句の「講解」を歌います。

[contact-form][contact-field label=’お名前’ type=’name’ required=’1’/][contact-field label=’メールアドレス’ type=’email’ required=’1’/][contact-field label=’コメントを歓迎しています’ type=’textarea’ required=’1’/][/contact-form]