心に残る名曲 その三十八  トランペット協奏曲変ホ長調 (Trumpet Concerto in E flat major)

フランツ・ヨゼフ・ハイドン(Franz Joseph Haydn)は、古典派を代表するオーストリア(Austria) の作曲家です。108の交響曲、102の弦楽合奏曲、56のクラヴィア独奏用ソナタを作曲しそれゆえに「交響曲の父」、「弦楽四重奏曲の父」と呼ばれています。

ハイドンの活躍は、当時のオーストリアやハンガリーの金持ちといわれた伯爵や公爵に召し抱えられたことにもよるようです。例えば、モルツィン伯爵(Karl von Morzin)、エステルハージ公爵(Nikolaus Esterhazy)といった人々です。いずれも宮廷楽長として迎えられるのです。主に管弦楽の指導とか楽譜や楽器の管理、人選などを担当します。当時の管弦楽といえば12〜13名の楽団員で構成されます。

ハイドンは「聖譚曲」と呼ばれるオラトリオ(oratorio)も作曲します。1600年代のバロック音楽を代表する楽曲形式がオラトリオです。「天地創造」がその代表です。

トランペット協奏曲変ホ長調のことです。作曲されたのは1796年。長年の友人でトランペット奏者であった Anton Weidingerの要望に応じて作曲したといわれます。あまたのトランペット協奏曲でも最も選れた曲で、ハイドンの最高傑作ともいわれるほどです。なお1830年代になり、今のようなピストンとかバルブ方式のトランペットができたようです。

この曲は協奏曲のスタイルである三楽章から成ります。第一楽章のAllegro (sonata)は長いオーケストラの前奏に続いてトランペットの独奏、そしてサックスやフルートとの掛け合いが続きます。第二楽章のAndanteは4分の3拍子ワルツの優しいメロディ。オーケストラとの音の受け渡しは絶妙です。第三楽章のAllegro (rondo)は4分の2拍子の溌剌とした曲想で華やかさで満ちます。