素人のラテン語 その十四 リンネの分類学上の貢献とシソーラス

「Roget’s Thesaurus of English Words and Phrases」という「英語語句宝庫」についてです。この辞典についての特徴を説明することにします。18世紀の生物学者、植物学者であったカール・フォン・リンネ(Carl von Linne)というスウェーデン人がいました。彼は後に「分類学の父」と称されるようになります。分類学(taxonomy)は、事象などについて互いの関係を位置づけるための体系を構築する学問のことです。

リンネの分類学上の功績は、二名法という植物の階層分類体系を創設したことであるといわれます。リンネ以前には,生物に名前をつける命名法は記述的なものであって,属名のうしろに形容詞などをつけて種の形質を記述して生物名としていたようです。しかし,このような方法では,後になって似かよった種が発見されたとき,この二種を区別するためには,さらに新しい形容詞をつけ加える必要が生じ,複雑な生物名となって実用上困ることになることになります。

そこで,リンネは属名(generic name)と種名(specific name)をつなげた学名(scientific name)で種の名前を二つの言葉の記号によって表現する二名法を考案します。これが、現在世界の学会で使われる「リンネ式階層分類体系」です。オリーブ(olive)という樹の表記を調べると、次のようにいくつかの階層に分類されています。

界 : 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : キク類 asterids
目 : シソ目 Lamiales
科 : モクセイ科 Oleaceae
属 : オリーブ属 Olea
種 : オリーブ O. europaea
学名 : Olea europaea

こうした世界共通の分類の仕方によって学術研究や調査の結果の分析が可能になるのです。リンネの分類体系によって、言葉を同義語や反義語、意味上の類似関係、包含関係などを網羅するシソーラスの開発につながっていきます。