心理学のややこしさ その二十 「パーキンソンの法則」

英国の歴史学者シリル・パーキンソン (Cyril N. Parkinson)が1957年に提唱したことに「パーキンソンの法則(Parkinson’s Law)」があります。今回はこの法則が世に出た経緯を紹介します。

パーキンソンはケンブリッジ大学 (University of Cambridge)で海軍史を学び卒業後、士官となります。その後King’s College London,王立海軍大学 (Royal Naval College)で教官となります。やがてロンドン大学(University of London)のKing’s Collegeで学位を取得します。

1950年にはクアラルンプール (Kuala Lumpur)にあるマラヤ大学(University of Malaya)の教授として歴史を教えます。その頃、パーキンソンはシンガポールなどにおいて多数講演し、それを下敷きにして「Parkinson’s Law And Other Studies in Administration」という本を著します。当時マレーシアはイギリスの統治下にありましたが1957年8月に独立を果たします。

「パーキンソンの法則」でよく知られているのは「役人の数は、仕事の量とは無関係に増え続ける」というフレーズです。役所だけでなく会社でも、放っておくと自然に仕事の量とは無関係にスタッフの数が増えてしまうという指摘です。

「仕事は、完遂するように指示された時間を満たすまでふくれる」(Work expands to fill the time available for its completion.)とも言います。どういうことかというと、ある仕事をやるために用意された時間はいくら余裕があっても締め切りギリギリになるという意味です。「まだ時間があるから明日にするか」と先延ばしにしがちだということです。子供も夏休み中に宿題を毎日少しずつやろうと思ってはいても結局夏休みの最後に慌ててやる…このことです。

パーキンソンはさらに言います。「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」Expenditure expands to spend income available.)「あればあるだけ使ってしまう」という意味です。食事の場合でもテーブルに料理などがあるときは、残さず食べてしまうわけです。