「アルファ碁」(AlphaGo) その十八 本筋と俗筋

碁では普通良いとされる着手は「本筋」といわれます。本筋とは条理とか道理とも呼ばれ、理(ことわり)にかなった手なのです。本筋は最も正統的かつ正しく打つ形ということになります。「美しい形」という表現もあります。お手本となるべき手ということです。「本寸法」という用語もそのことを意味します。

その対比となるのが「俗筋」です。異筋とも呼ばれ、大抵は良くない手です。「筋が悪い」手ともいわれます。プロが最も敬遠する石の運び方です。異筋は石の働きの効率が悪いのです。その例は「車の後押し」、「空き三角」、「ケイマの突き出し」といった手です。こうした異筋は、一見先手をとっているようですが、将来起こるかもしれない劫とか味などの後続手段を消してしまう手なのです。後の打つ楽しみを残すように我慢して打つのがよいのです。俗筋は我慢できなかった手といえましょう。

碁には棋理があります。碁の理、理論のことです。長い碁の歴史で育まれた経験値が棋理を作り上げてきました。「本筋」を含めて棋理を勉強しないと上達はおぼつきません。