「アルファ碁」(AlphaGo) その十二 碁の心理と「コウ」

囲碁の高等戦術は「コウ」でしょう。コウは漢字では「劫」と書きます。大辞林によれば劫とは、もともとインド哲学の用語で、「極めて長い宇宙論的な時間の単位」、あるいは日本大百科全書では、サンスクリット語で「非常に長い時間」といわれています。「未来永劫」という四文字熟語があります。

囲碁では、相手と自分とが互いに一目の石を取ったり取られたりすること場面が劫です。取られたあとすぐに取り返せない約束となっています。一手、他の方面の急所に打つことを劫立てといい、それに相手が応じたあと、一目を取り返して劫争いが起こります。劫は碁を複雑で面白いものにします。たまに三劫ができて双方が譲らないときがあります。その場合は引き分け、無勝負となります。

自分が不利な形勢のときや、双方の石の死活に関わる時に仕掛けるぎりぎりの手段がコウです。時にコウは起死回生の戦術ともなります。その時コウを解消することを振り替わりといいます。自分も損はするが相手も損をします。その時どちらが損の具合が大きいかを目算してコウを続けるか解消するかを決めます。

コウは最初の段階では、つぐことによって解消してはならないといいます。コウが続くと段々コウ材が少なくなりますが、石の形がきまり安定はするものです。碁は段々と打つ場所が減ってきて必ず終局するという原理があります。