木枯らしの季節 その三十 「さまよえるオランダ人」

リチャード・ワーグナー(Richard Wagner) 作曲のオペラに「さまよえるオランダ人」 (The Flying Dutchman) があります。「楽劇王」と呼ばれたワーグナーです。「ニーベルングの指輪」(The Ring of the Nibelung)、「タンボイザー」(Tannhäuser)、「ローエングリン」(Lohengrin)、「トリスタンとイゾルデ」 (Tristan and Isolde) などを作曲しています。ブリタニカ国際大百科事典によりますと、楽劇とは 「ギリシア悲劇への復帰を理念とし,神話や伝説に題材を求め,言葉,音楽,身ぶりの融合によって総合的な劇作品となったもの」 とあります。私には歌劇と楽劇の違いはよく判別できませんが、、、

「さまよえるオランダ人」の話です。アフリカ最南端の喜望峰(Cape of Good Hope)で、オランダ人船長ファン・デル・デッケン(Hendrik van der Decken)が風を罵って呪われます。そして船は幽霊船となり、船長はたった1人で最後の審判の日まで彷徨います。船は今も湾に入れず近海をさまようという物語です。1780年代の話で、オランダは大航海時代のときで、世界を席巻していた貿易大国の裏話のようです。

「さまよえるオランダ人」のドイツ語は「Der fliegende Holländer」とあります。 “Holländer”には「オランダ人」のほかに「幽霊船」という意味があるそうです。”fliegende”とか”flying”が形容詞となっていますから「さまよえる幽霊船」 と訳すのも可能です。

“The Flying Dutchman”ですが、これを「空飛ぶオランダ人」と意訳してサッカー選手にも使われました。オランダの世界的な元サッカー選手にヨハン・クライフ (Johannes Cruijff) がいます。位置はフォワードとミッドフィールダー。柔軟なボールタッチで相手のタックルをはずし、フェイントで飛び越えたプレーに「空飛ぶオランダ人」とニックネームがつきました。さしずめ日本では釜本邦茂といったところでしょう。柔道や卓球、スピードスケートなどスポーツの盛んなオランダです。

これで「木枯らしの季節とオランダ」の話題は尽きました。