文化の日を考える その十四 ムーミン谷の人々

読書の秋、食欲の秋、旅行の秋、運動会や文化祭の秋といった文化が日本にあります。「天高く馬肥ゆる秋」は漢書を原典とする故事とありますが、、秋は馬で敵が襲ってくるから警戒せよという意味だそうです。四季の移ろいを楽しむのは日本人も中国人も同じです。

秋の夜長に読みたい本にムーミン (Moomins) の童話があります。フィンランドの女性イラストレータであり作家であるトーヴェ・ヤンソン(Tove Jansson)の作です。この童話シリーズはスウェーデンとフィンランドで1945年頃から1993年にかけて出版され、世界中で読まれています。童話は九冊の本から成ります。我が国で紹介されたのは1969年頃といわれます。私がムーミンを知ったのはテレビ番組です。

fd68c403474ed85292db3856a0c4a1ea 9780312608897_Web.pdf c52365f8d62eace6899d1b7c266bd335主人公は、MumintrollとかMuumiと呼ばれます。一般にはムーミンと呼ばれる「男の子」です。頬が膨らんで白く丸い体をしていて動物のサイにそっくり。妖精のような生物で人間と呼んでよいかどうか、、、そんなことはどうでもいいのが童話の世界です。

ヤンソンは祖先がボヘミヤ(Bohemia)。今のチェコの中部と西部のあたりを指すようです。自然に恵まれ多様な民族との交流があったところといわれます。ヤンソンはそうした風土の影響を受けて創作活動をしたことがうかがわれます。今もフィンランドはヨーロッパで最も深い森に包まれた国といわれます。

ムーミンの家族らはフィンランドのとある谷、ムーミン谷 (Moominvalley)と呼ばれるところに住んでいます。森があり灯台や小劇場もある村です。とても安全な谷なのですが、いろいろハラハラする冒険を子供たちが引き起こします。

Moomintrollです。好奇心が強くやる事なす事話題となります。誰とも仲良くし、ときに勇ましく振る舞い両親をハラハラさせます。丸高帽子をかぶっているのがMoominpappa。子供のように冒険好きなお父さんです。豊かな教養がありいつもきちんと子どもを諭し、教えを授けています。物事をしっかりと考えて家族を育てます。次ぎにMoominmamma。いつもエプロンをして家庭を安全で暖かいところにする優しいお母さんです。誰かの誕生日を知っていてデザートをつくってやるという気の遣いようです。みんなが幸せになるように願っています。

登場人物には、ときに詩的な台詞や哲学的な発言をさせています。その代表がSnufkin。ハーモニカを吹いては思索する孤独な旅人です。子供には理解できるのかと思われるような台詞を語ります。しかし、人生を簡素に、ものごとを楽天的にとらえ、そこに自分の喜びを探求してムーミン谷の人々から信頼と尊敬を集める哲学者です。子供といえども大人の素養が備わっている、だから大人に向けに語られるような深い意味の言葉は子供にも理解できるのだという信念がヤンソンにはあるようです。

本稿で「文化の日を考える」シリーズは幕とします。