二文字熟語と取り組む その20 「沽券」

315e8c56f5c2354eb35480f579849507 fig-kajimaya0201-KajimayaHonten o0500033913424925571時代小説を読みますと、商いに関するいろいろな場面が登場します。江戸時代は士農工商の世相とはいえ、大火や災害、飢饉などによって材木や米を扱う新興の大商人が現れます。彼らはやがて豪商といわれるほど大きくなります。呉服と両替商を営んだ三井家や「現金掛け値なし」の店先売りで知られた越後屋、銅の製錬と鉱山開発にたずさわった住友家、酒造、廻船、両替などで繁栄した大坂の鴻池家などです。

徳川綱吉の元禄年間、幕府も諸藩の財政難を示しています。こうした財政難を支えたのが豪商による御用金というか貸し付けでした。これは別名「大名貸し」といわれます。諸藩だけでなく御家人の大半も借金があって、両替屋などに首根っこを押さえられていました。そして吉宗の「享保の改革」が始まります。

鎌倉時代に徳政令が始まったといわれます。債務の免除を命じた法令です。借金とか売掛金を「踏み倒し」することです。返済不能になると100年債にして払うというような取り決めも強制的に決められたようです。利息の支払いは打ち止めにされ、元本の支払いだけとなります。これはまさに「デフォルト」。幕府の苦し紛れの「財政の建て直し策」は緊縮財政を機軸としています。奢侈を戒め服装等に制限を設けたり、金や銀の含有率や形を変える改鋳もします。

土地や家屋などの売り渡しの証文のことを「沽却状」とか「沽券状」といいました。こうした諸権利を売却するとき,売主の発行する証文です。質屋の質札と同じ性質のものです。「沽」の語は、訓読みで売るとか買うという意味です。

「沽券」のもう一つの意味は、人の値うちを表す体面、品位、人品というものです。男らしくあることを前提とした男性の誇りを表現にしたもので、「沽券に関わる」とか「沽券が下がる」という言い回しです。現代は、この使い方が一般的です。「沽券」はなぜか女性には使われません。どなたかその訳を知っている人はおりませんか。