アメリカの州鳥 その43 ミシシッピ州の鳥: マネシツグミ

ミシシッピ州(Mississipi)は合衆国南部に位置する州です。ミシシッピは北はテネシー州(Tennessee)、東はアラバマ州(Alabama)とルイジアナ州(Louisiana)、南はメキシコ湾(Gulf of Mexico)と、西はアーカンソー州(Arkansas)で隣接しています。州名はインディアン部族オジブワ族(Ojibwa)の部族語で「大きな川」を意味するミシシッピ川(Mississippi River)から由来しています。州都および最大都市はジャクソン市(Jackson)です。

この地域に入った最初のヨーロッパ人探検家はスペイン人のエルナンド・デ・ソト(Hernando de Soto)で1497年頃といわれます。1699年4月、フランス人開拓者がオーシャンスプリングス(Ocean Spring)に最初の開拓地フォートモーリパス(Fort Morlipas)をつくります。さらに1716年、フランスはミシシッピ川沿いにナチェズ(Natchez)の街とロザリー砦(Fort Rosalie)を建設します。この町が中心地となり交易拠点となります。フランスはこの広大な領土を「ヌーベルフランス」(New France)と呼びます。こうして現在のアラバマ州南部とフロリダ州のメキシコ湾岸は、スペイン、フランス、イギリスの各植民地となっていきます。アメリカの独立戦争が終わると、この地域は新生合衆国の領土となります。

1850年代は、綿花がミシシッピ州のいわば王様であり、ミシシッピのプランテーション所有者、特にミシシッピ・デルタ(Mississipi Delta)やブラックベルト地域(Blak Belt)の所有者は土壌の肥沃さ、国際市場での綿花の高値、さらに奴隷という資産で裕福になります。そこから得られる利潤を使ってさらに綿花栽培用の土地と奴隷を購入していきます。ミシシッピ川のデルタで土地を所有する農夫の3分の2はアフリカ系アメリカ人でありました。

1910年には、綿花の価格下落などで黒人農夫の過半数がデルタの土地を失い、小作農になります。1920年では、奴隷解放後の第3世代となったアフリカ系アメリカ人の大半が、土地無し労働者になっていきます。1913年頃からは、グレートマイグレーション(Great Migration)と呼ばれる人口の移動が起こり、数万人ものアフリカ系アメリカ人がミシシッピ州を離れ、職を求めて北部のセントルイス(St. Louis)、シカゴ、デトロイト、フィラデルフィア(Philadelphia)、ニューヨークなど工業化された都市に移住します。

州の鳥はマネシツグミ(Northern Mockingbird)。”Mocking”とは”真似をする”という意味です。真似師鳥とも呼ばれ、他の鳥の鳴き声を真似することができるとも言われています。アメリカでよく見かける鳥で人気があり、5つの州の「州鳥」になっています。鳴き声がトゥララー・トゥイディリ・デー・デー(Tra-la-la, tweedlee dee dee)と表記されるほどです。

アメリカの州鳥 その42 ミシガン州の鳥: コマツグミ

ミシガン(Michigan)は自動車工業発祥の州として知られています。その中心はなっといってもデトロイト(Detroit)でしょう。五大湖のうちの4つに囲まれるという地の利が自動車産業を支えてきました。ゼネラルモーターズ(GM)、フォード(Ford)、クライスラー(Chlysler)のビッグスリーの本社がデトロイトとその近郊にあります。その他の産業も盛んです。アムウェイ(Amway)、穀物のケロッグ(Kelog)、ダウケミカル(Dow Chemical )、ワールプール(Whirlpool)などの本社もここにあります。

ミシガン州やオハイオ州、ペンシルヴァニアなどの州は、「錆び付いた地帯」(Rust Belt)と呼ばれています。鉄鋼や繊維産業が衰退し、脱工業化に遅れた州といわれます。今回の大統領選挙ではオハイオ州を除き、バイデンがミシガン、ペンシルヴァニア、ウィスコンシンで勝利したのはグローバル時代の波に乗った結果ともいえそうです。ミシガンはスウィング・ステイト(Swing State)と呼ばれ、毎回、共和党と民主党がしのぎを削る州です。

ミシガン州(Michigan)のナンバープレートには「Great Lake State」と印字されています。五大湖を指しています。ミシガンは北はカナダと国境を接しスペリオル湖(Lake Supeior)、ヒューロン湖(Lake Huron)を抱え、西はウィスコンシン州、南はインディアナ州(Indiana)とオハイオ州(Ohio)に接しています。州都はランシング(Lansing)で最大の都市はご存じデトロイトです。デトロイト国際空港は6本の滑走路を有し、一大ハブ空港となっています。

ミシガンは一大レクリエーションの州でもあります。統計によるとミシガンはカリフォルニア、フロリダに続き全米で第三番目の観光客を集めた州といわれるほど自然に恵まれたところです。65,000の湖や沼が広がるというのですから、レクリエーション客を惹き付ける理由もうなずけます。4つの湖のそばはどこも州立公園や観光地といってよいほどです。

カナダの国境近くにはマキナック島(Mackinac Island)があります。夏はキャンプ、リゾート、なんでも楽しめます。この島は車禁止。移動手段は「リムジン馬車」か自転車となっています。生ガキとキャビア、魚料理の食事も最高です。のんびりと時間が流れるようなところです。

州の鳥はコマツグミ、別名ロビン(Robin)です。合衆国を代表するといえるほど親しまれている鳥です。ヒタキ科に分類されるで渡り鳥です。 鮮やかなオレンジ色が美しく、フレンドリーで愛らしい鳥です。大好きなミミズを探しに歩道や庭先の芝生の上にいるロビンをよくみかけます。頭部から翼にかけては灰色~黒色をしています。くちばしが黄色で眼の上下に白い縁取りがあるのも特徴です。胸が橙赤色です。ヨーロッパコマドリにちなみ「アメリカンロビン」(American Robin)と呼ばれています。アメリカで単に「ロビン」と言えばコマツグミのことです。

アメリカの州鳥 その41 マサチューセッツ州の鳥: アメリカコガラ

マサチューセッツ(Massachusetts)州都のボストン(Boston)から車で一時間のところに大西洋に面したプリマス(Plymoth)という港町があります。ここにメイフラワー号(MayflowerII)のレプリカが停泊しています。大西洋を渡り到着400年を記念して建造された船です。Mayflowerは1620年頃にイギリスから10週間の航海の後、このあたりに着いたことが記されています。102名の乗組員と移民が乗っていました。そのうち3名は妊婦で航海中に出産したことが記されています。長くてつらい大西洋の航海だったようです。

最初の移民の多くは清教徒(Pilgrims)でした。下船して清教徒が開拓したところが今日も大切に保存されています。この居留地はPlimoth Plantation(プリマス・プランテーション)と呼ばれて州の歴史的な公園となっています。開拓地は高い木の柵が巡らされてインディアンからの襲撃に備えたことを伺わせます。

Plantationに入りますと、そこは17世紀の植民地時代という設定です。タイムスリップするのです。そこで働く人は百姓、鍛冶屋、靴屋、パン屋さんなどいろいろ。当時の服装、言葉、動作で観光客に対応します。観光客はそのことを知らされません。こんな会話が交わされます。

  -働く人:どこから来ましたか?
  - 観光客:日本からきました。
  - 働く人:日本ってなんですか?どこにありますか?
  - 観光客:アジアです。
  - 働く人:どうやってここまで来ましたか?
  - 観光客:飛行機と車できました。 
  - 働く人:飛行機とか車ってなんですか?
  - 観光客:飛行機も車も知らないんですか、、、、。

マサチューセッツ州の車のナンバープレートには「Spirit of America」というキャッチフレーズが印字されています。1680年ころから、マサチューセッツはイギリスの植民地となります。1760年代になると、マサチューセッツ憲法として権利の宣言をし、イギリスの支配に反旗を翻し独立戦争が始まります。この自治と独立の精神が「Spirit of America」というものです。

州鳥はアメリカコガラ(Black-Capped Chickadee)といいます。全長13cm程度の大きさの北大陸北部に分布する留鳥です。冬になると体温を下げて寒さにも耐えられる鳥です。広葉樹林に群れを成して生活します。種子などを地面を掘って貯めますが、その場所をきちんと覚える特徴があります。人なつこく、手の平に餌を置くと飛んできてついばみます。

アメリカの州鳥 その40 フロリダ州の鳥: マネシツグミ

合衆国南部に突き出た半島でメキシコ湾(Gulf of Mexico)を囲むのがフロリダ州(Florida)です。そのナンバープレートには「Sunshine State」とあります。文字通り太陽の降り注ぐ温暖な州です。特に冬は、各地から避寒客がやってきます。極寒の中西部では、「フロリダに行ってくる」というフレーズは周りの人からは羨ましがられるのです。州都はタラハシー (Tallahassee)です。最大の都市はジャクソンビル (Jacksonville)、その他主な都市としてはマイアミ (Miami)があります。

フロリダは豊富な漁猟資源でも知られています。特産のエビや牡蠣(かき)でも有名です。映画「フォレストガンプ」(Forrest Gump)の終わりのところで、ヴェトナム戦争の戦友と再会しエビ捕りにでかけるシーンがあります。柑橘類の果実及びジュース生産も盛んな州です。

日本人にもフロリダ州は子どもや親にとって、わくわくするところです。オーランド(Orland)にあるディズニー・ワールド(Disney World)です。世界一の娯楽施設です。その広さはJR山手線内の約1.5倍というのですから、まさに桁外れのものです。オーランドにはユニバーサル・スタジオ(Universal Stadio)もあります。ディズニー・ワールドとあわせて毎年6,000万以上の人々がオーランドを訪れるというのです。フロリダには、アメリカ航空宇宙局 (NASA) のケネディ宇宙センターがあります。数々のロケットやスペースシャトルが打ち上げられてきたところです。

フロリダ州の鳥はマネシツグミ(Northern Mockingbird)です。様々な音を鳴き真似する特徴があります。くちばしは細く、顔はくちばしから目に向かって黒の筋が横切ったような模様をしています。鳴き声を発するのは主にオスで、他のオスから自分の縄張りを守るための警告です。繁殖期に交尾相手を誘うのもこの鳴き声です。繁殖期間中は攻撃的な性格になり、自分の巣に近づくものがいれば動物であっても人間であっても襲いかかる気丈夫な鳥です。

アメリカの州鳥 その40 ハワイ州の鳥: ハワイガン

1778年にイギリスの海軍士官で、海洋探検家であったキャプテン・クック(Captain Cook)がハワイ(Hawaii)諸島のカウアイ島(Kauai Island)に上陸します。ハワイにやってきた最初の西欧人です。1795年から1893年までカメハメハ王朝(Kamehameha)がハワイ王国が統治します。そして、1959年に合衆国の50番目の州となります。

ハワイは8つの主要な島と120余りの小島からなります。ハワイ島のマウナロア山(Mauna Loa)、キャラウエア山(Kīlauea)の活火山が有名です。先住民のポリネシア系、アジア系、白人など人種のるつぼです。渡来した宣教師が女性の腰みのを改めさせるために考案したのがムームー(muumuu)といわれます。

19世紀はサトウキビの生産と製糖が主要産業であり、大規模な製糖工場が建設されます。20世紀になるとにコーヒー産業への農地転換が行われ、作付け面積や収穫高が多いことで知られています。タロイモ(Taro)やパイナップルも盛んに栽培されています。ハワイではタロは「カロ」(kalo)と呼ばれています。豚肉や鶏肉をカロの若葉で包んで蒸し焼きにするラウラウ(Laulau)という郷土料理があります。タロイモは、熱帯アジアやオセアニアの島々、アフリカの熱帯雨林地帯ではさらに多くの品種が多く栽培されています。これを主食としている民族や地域も多いことは知られています。若葉は葉菜として利用されるのも特徴です。

1941年12月7日に日本軍の真珠湾攻撃で太平洋戦争が起こります。ハワイで生まれ育ち、アメリカの市民権を持つ日系アメリカ人の若者の多くは、自ら進んで志願兵となることで合衆国に対する忠誠心を示そうとします。彼らハワイの日系人だけで組織された陸軍第100大隊は、のちにアメリカ本土の日系人部隊と合流し442連隊(442nd Regimental Combat Team)となり、欧州戦線において多くの犠牲と引き換えにめざましい戦果を上げます。彼らの戦いは多くのアメリカ人に感銘を与え、ハワイと戦後のアメリカ社会における日系人の地位向上に貢献したことで知られています。

ハワイの州鳥はハワイガン(Hawaiian goose)で、地元に人々はネネ(Nene)と呼んでいます。「ネーネー」という鳴き声が由来といわれます。カナダガンがその先祖と言われ、ハワイ諸島に定住し進化を遂げました。ガンといっても渡り鳥としての性質はありませんが、水鳥なので泳ぐことができ、V字編隊での飛翔をするガンの特徴も残しています。産卵時期や産卵場所、交尾場所など、他のガンとは異なる性質が数多く確認されています。

アメリカの州鳥 その39 ペンシルヴァニア州の鳥: エリマキライチョウ

ペンシルヴァニア州(Pennsylvania)は北東部の州と南部の州、大西洋岸と中西部を結ぶ地点にあることから、キーストーン・ステート(Keystone State)「礎石の州」とも呼ばれます。今回の大統領選挙において最激戦区といわれます。エリー湖(Lake Erie)やオンタリオ湖(Lake Ontario)に面し、北はカナダとニューヨーク州に接し、東はニュージャージー(New Jersey)につながっています。形は横長の州です。州都はハリスバーグ(Harrisburg)。州の西には重要な河港を持ち、かつて鉄鋼業の中心地として栄えた町、ピッツバーグ市(Pittsburgh)、独立宣言のときに打ち鳴らされた”リバティーベル”(Liberty Bell)を見ることができる独立歴史公園がフィラデルフィア市(Philadelphia)があります。

ペンシルヴァニア州の名前の由来から始めます。クエーカー教徒(Quakers)が迫害から逃れて、安全に住める場所として開拓された新天地です。イギリスからやってきた商人でクエーカー教徒であったWilliam Pennという人がいました。やがて貿易などで成功したPennにイギリスは領地を分け与え植民地とします。ペンシルヴァニアには豊かな森が広がります。ラテン語で森を意味する「sylvania」にPennをつけたというわけです。

その後、ペンシルヴァニアは開拓されて植民地化されてはいましたが、Pennらはその地の自治を求めて自由憲章の草稿を書きいています。そしてイギリスからの独立を目指していきます。信教の自由、公正な裁判、主権を持つ人民により選ばれた代表、三権分立などの精神を訴えます。こうした考えは、後にアメリカ合衆国憲法の基本になる考えとなります。

ペンシルヴァニア州の鳥はエリマキライチョウ(Ruffed Grouse)です。全長40cmくらいで、翼長オス18cmです。冬季になると足元に櫛状の突起があらわれます。オスは眼上部にオレンジ色の肉質が見えます。夏季は開けた森林、冬季は針葉樹林に生息します。食性は雑食で、植物の芽、葉、果実、種子、昆虫などを食べます。婚姻形態は一夫一妻性。オスは頸部側面の羽毛や尾羽を逆立て、鳴き声を上げたり翼を震わせて音を出して(ドラミング)求愛します。

アメリカの州鳥 その38 ヴァモント州の鳥: チャイロツグミモドキ

1979年の夏、家族と一緒にカナダを旅してからヴァモント州(Vermont)の州都モントピーリア(Montpelier)を通りました。ヴァモントの州名はフランス語の「verr mont」(緑の山)からとられています。全米で最も小さい州都といわれます。小さな議事堂のロタンダ(rotunda)といわれる中央のドーム内は州の博物館となっています。小さなヴァモントの歴史は、イギリスからの独立をヴァモントが宣言した1777年以来の州つくりと大自然との共存の歩みとなっています。ヴァモント州の最大都市はバーリントン(Burlington)です。

ヴァモント州はアメリカ合衆国北東部のニューイングランド(New England)地方の内陸にあります。北はカナダのケベック州 (Quebec)に、東はニューハンプシャー州(New Hampshier)、南はマサチューセッツ州(Massachussetts)、西はニューヨーク州(New York)に隣接しています。州の多くは山岳と森林で占められています。気候は内陸性ですから夏は暑く、冬は相当「しばれ」ます。ニューイングランドの紅葉は格別です。州の愛称は「Green Mountain State」でこれが車のナンバープレートに書かれています。

ヴァモント州は独立戦争でも名声をたかめます。1775年、ニューヨーク州のハドソン川(Hudson River)に築かれたイギリスの要塞タイコンデロガ砦(Fort Ticonderoga)を、イーサン・アレン(Ethan Allen)の指揮するグリーン・マウンテン・ボーイズ(Green Moutain Boys)などヴァモントからの民兵隊によって奪取します。
 
ヴァモント州最大の産業は観光です。畜産業も盛んです。観光客の多くはインターステート(高速道路)で数時間の距離にあるニューヨークやボストンからやってきます。豊かな自然を売りにしてスキー、サイクリング、キャンプ、フィッシングの鱒釣りなどが盛んです。秋はりんご狩りなどに大勢の観光客が訪れます。この州で忘れられないのはメープル・シロップ((maple syrup) の生産です。全米で最大の生産量を誇っています。サトウカエデの樹液を集めて精製します。シロップの琥珀色は薄いほど高級となります。メープル・シロップは熱いパンケーキやワッフルなどにかけてバターと一緒にいただくと最高ですね。

ヴァモント州の鳥はチャイロツグミモドキ(Brown Thrasher)となっています。チャイロツグミモドキは少し丸くなったくちばし、目の周りが黄色で、体全体が茶褐色となっています。尻尾は長く、すらりとしています。羽の上部には黒と白の斑点が並び、下腹は白いのですが黒褐色の縞が点在しています。ツグミの仲間です、鳴き声はチョロチョロ、チェチェと短く鳴きます。昆虫類のほか、種子なども食します。

アメリカの州鳥 その37 ヴァジニア州の鳥: ショウジョウコウカンチョウ

ワシントンDC(Washington DC)からポトマック川(Potomac River)を越えたところに位置するアーリントン郡(Arlington County)、そこからヴァジニア州(Virginia)は南西に広がります。イギリスから最初に独立した13州のうちの一つ。南北戦争では南部連合(Confederacy)に属して合衆国軍(Union)と戦いました。州都はリッチモンド(Richmond)となっています。

ヴァジニア州は正式にはThe Commonwealth of Virginiaと呼ばれます。植民地時代から地域がそれぞれに共通した目標である独立に向けて共に発展する意思を表しています。この州からは、歴代8名の大統領を送り出しています。そのために、「アメリカ大統領の母なる地」(Mother of Presidents)とも言われるほどです。DCの対岸の州内にはアメリカ国防総省(Pentagon)やCIA本部もあります。

ウイリアムスバーグ(Williamsburg)は是非訪れたいところです。1690年代には植民地時代の首都でありました。1.5km x 1.5 kmの区画内に入植当時の建物はすっかり復元されて、植民地の面影を感じることができます。その近くに1693年に設立されたウイリアム・メリー大学(William & Mary University)があります。この大学はアメリカで最も由緒のある、また優れた学部教育のカレッジとして知られています。

マウントバーノン(Mount Vernon)はアレクサンドリア(Alexandria)近くに位置し、アメリカ合衆国初代大統領ジョージ・ワシントン(George Washington)の農場があった所です。木製の邸宅は新古典主義ジョージア調建築様式といわれる壮麗なデザインです。マウントバーノンは祝日やクリスマスでも開き、年中無休です。訪問者は邸宅やその他の多くの建物、奴隷用宿舎、台所、厩、温室などを回わりながら、4つの庭園や森の小道を歩き、ワシントンの私的な生活の足跡を辿ることができます。

州鳥はショウジョウコウカンチョウ(Northern cardinal)です。体長は 21–23 cm位で、歌声鳥(songbird)の名に恥じない鳥です。オスは活気のある赤色で、頭冠羽が目立ちます。目と嘴の周りは黒い縞があります。メスは赤っぽいオリーブ色といったところです。オスは鳴き声で縄張りを主張します。求愛のとき、オスはメスに嘴で昆虫などの餌を与えます。メスは一回で3個から4個の卵を産みます。

アメリカの州鳥 その36 ノースダコタ州の鳥: ニシマキバドリ

ノースダコタ州(North Dakota)は合衆国中西部の最北部、グレートプレーンズ(Great Plains)にあります。州の北側はカナダ国境であり、サスカチュワン州(Saskatchewan)およびマニトバ州(Manitoba)に接しています。西側はモンタナ州(Montana)に、東側はミネソタ州(Minnesota)との州境にレッド川( Red River)が流れ、南側はサウスダコタ州(South Dakota)と接する州です。州都はビスマーク市(Bismarck)。人口最大の都市はファーゴ市(Fargo)となっています。ノースダコタの名前は、スー族(Sioux)であるダコタ族(Dakota tribe)から由来しています。「ダコタ」はスー族の言葉で「友人」という意味です。私はノースダコタを旅したことがありません。

17世紀以降、ノースダコタの領有権はフランス、スペイン、イギリスにより争われます。 1803年、ルイジアナ購入によりフランス領からアメリカの領土になったこの地は、1861年にダコタ準州となりました。 このダコタ準州が現在のノースダコタ州です。州の一番の特徴は厳しい気候があげられます。そのため、他の地域よりも移民の流入が遅れたそうです。 今でも人口密度は低く、州の人口も全米で下から3番目に位置しています。 経済の柱は農業で、中でも小麦は全米トップ、その他、ひまわりの栽培で蜂蜜はトップの生産を誇ります。菜種油(カノーラ油)は92%、カラシ油が62%、ひまわり油は53%、べに花油が18%を占めています。食用油の精製は一大産業となっています。

ノースダコタ州には、63の国立野生動物保護区があります。セオドア・ルーズベルト国立公園(Theodore Roosebelt National Park)、絶滅の危機に瀕した野生のバイソンが400頭以上生息しています。ルーズベルトは1884年、妻と母が同じ日に亡くなった後、その後2年間のほとんどを牧場で働いて過ごします。春には渡り鳥のバードウォッチングができます。アビ、カイツブリ、ペリカン、サギなど 100 種を超える鳥が生息しています。ノースダコタにはノルウェー(Norway)からの移民が多い州です。合衆国のいわば僻地のような所で、人が少なかったのでこの地を選んだといわれます。

州鳥はニシマキバドリ(Western Meadowlark) 体長は22 cm位で、長い嘴を持っています。下腹は黄色く、首の下にV字形の縞模様があります。背中は茶褐色ですが、黄色い斑点が目立ちます。ヒバリ独特の短い鳴き声が響きます。ニシマキバドリは垂直に飛翔し、巣のあるとこから離れたところに着地し、巣の所にそっと戻ります。外敵から巣を守るためです。

アメリカの州鳥 その35 ノースカロライナ州の鳥: ショウジョウコウカンチョウ

ノースカロライナ州(North Carolina)といえばライト兄弟(Wright Brothers)です。1903年、世界で初の有人動力飛行に成功したのがノースカロライナです。ナンバープレートには「First in Flight」(初の飛行)と記されています。州都ラレイ(Raleigh)で、最大の都市はシャーロット(Charlotte)となっています。

ノースカロライナ州は、周りをバージニア州(Virginia)、テネシー州(tennessee)、ジョージア州(Georgia)、そしてサウスカロライナ州(South Carolina)に囲まれています。チャペルヒル(Chapel Hill)という町には、実に綺麗なノースカロライナ大学のキャンパスがあります。ノースカロライナ州は科学技術の研究開発が非常に盛んなところです。その中心はResearch Triangleと呼ばれる ラレイ、ダーム(Durham)、チャペルヒルの三つの町です。三つはちょうど三角形のように点在しています。

農業生産品は鶏卵、豚、牛、牛乳の他にタバコ、大豆が主要なものです。他にも織物、化学工業、電子機器、製紙業も知られています。意外なことですが、ノースカロライナ州はカリフォルニア州以外で最大の映画制作を行っている州の1つでもあります。 

グレートスモーキー山脈国立公園(Great Smoky Mountains)は、約 900 キロメートルにもおよぶ絶景です。ハイキング、キャンプ、ラフティング、ジップラインを通して、この地域の息をのむような景色を堪能できます。海岸沿いでは、カイトボード、サーフィン、スタンドアップ・パドル・ボード、カヤックなども楽しめます。私的な話ですが、来年7月にノースカロライナの大西洋岸のビーチそばで、家族が13名が再会してバケーションを楽しむ予定となっています。すでに娘達が一軒家を予約しています。

州鳥のショウジョウコウカンチョウ(Northern Cardinal)アメリカでは冬期には、都市公園などでも見られ、国民に最も愛されている野鳥のひとつとなっています。頭には冠羽、体全体が赤く、嘴は短めです。尾羽は赤みがかって長く体がすらりとした美しい鳥です。オスは成熟するにつれて赤みが増していくのです。

アメリカの州鳥 その34 ネブラスカ州の鳥: ニシマキバドリ

ネブラスカ州(Nebraska)は合衆国のほぼ真ん中に位置しています。北はサウスダコタ(South Dakota)に、東はアイオワ(Iowa)とミズーリ(Missouri)に、西はワイオミング(Wyoming)とコロラド(Colorado)に、南はカンザス州(Kansas)に囲まれています。州都はオマハ(Omaha)。州の大部分は平坦な大平原が広がり、そこは肥沃なプレーリー(prairei)土に恵まれ、牛肉・豚肉・トウモロコシ・大豆の生産で、国内のトップとなっています。

ネブラスカの西部にはチムニー・ロック(Chimney Rock)など巨大な岩で知られています。このあたりはでは沢山の恐竜が発掘されています。きわめて保存状態が良く恐竜の骨格がはっきりしています。それを展示しているのがネブラスカ大学リンカーン校(University of Nebraska- Lincoln)です。院生を引率してリンカーン市内の小学校を視察し、大学の恐竜博物館へ行きました。圧巻そのものです。

州の鳥はニシマキバドリ(Western Meadowlark)といいます。全長は約23cm。腹と喉にかけては黄色で、胸には地褐色と黒い帯状の縞が入ります。上面は黒と薄褐色の縞模様をしています。嘴は長く、鳴き声はチュチュ、チュチュというヒバリに似ています。巣は草地に作ります。ほとんどは昆虫を主食としています。ニシマキバドリはモンタナ(Montana), カンザス(Kansas), ノースダコタ(North Dakota), オレゴン(Oregon)、ワイオミング(Wyoming)の州鳥ともなっています。

アメリカの州鳥 その32 ニューヨークの州鳥: ルリツグミ

誰でもが名前をご存じのニューヨーク(New York)は金融センター、国連本部など世界の政治、経済、文化、ファッション、エンターテインメントの中心地です。ショービジネスなど娯楽産業の中心でもあります。年間4,700万人の観光客が訪れます。国際連合はじめ公共機関も沢山あります。9・11の影響がいまだに続いてはいますが、急速な回復はニューヨークのバイタリティを感じます。公共交通網も張り巡らされ、多くの交通機関は24時間運行となっています。ニックネームはBig Apple。その由来は、大恐慌時代に失業者が市内ででリンゴ売りをしていたとか、ジャズマンが使い出したとか。1800年代に街には一番いい「リンゴ」があったという(隠語で売春婦)説などがあります。

歴史的に由緒のある所といえば、エリス島(Ellis Island)でしょう。ニューヨーク湾内にあって、19世紀にヨーロッパからの移民が到着したのがこの島です。かつての移民管理局は今は博物館となっています。1800年頃から1954年まで使われていたとあります。その近くには自由の女神(The Statue of Liberty)が建っています。合衆国の独立100周年を記念してフランスより贈呈され、1886年に造られました。ヨーロッパからやってきた人々が船上からこの像を眺めて、新天地への憧れを抱いたところといわれています。自由の象徴ともなっています。

ニューヨークではBBQを賞味したいものです。シシカバブ(shish kebab)です。もともとはトルコからの移民がもたらした料理ですが、たくさんのBBQレストランがあります。私にとってのニューヨークですが、一度セントラルパーク(Central Park)をジョギングし、家内はメトロポリタン美術館へ、院生はミュージカルを楽しみました。友人の教員がBBQレストランに連れて行ってくれたのが思い出です。

ニューヨークの州鳥はルリツグミ(bluebird)でミズリー州の鳥ともなっている美しい鳥です。色鮮やかなルリツグミ属の仲間は3種に分類されています。ルリツグミの成鳥は腹が白いのが共通しています。オスの成鳥は上部が鮮やかな青色、喉と胸は赤茶色です。メスの成鳥は灰色がかった青の翼と尾、茶色っぽい喉と胸、灰色の頭と背を持っています。幼鳥は灰茶色で赤みがなく、胸はまだらで、翼と尾は青みがかっています。その美しい羽の色と、多くの人の耳には「チャー・リー、チャー・リー」と聞こえる独特なさえずりを特徴としていて、人々に広く愛されている鳥です。木のある開けた土地、畑地、果樹園などを好みます。

アメリカの州鳥 その31 ニューメキシコの州鳥: オオミチバシリ

ニューメキシコ(New Mexico)の州鳥の紹介です。州都は、かってメキシコの総督府が置かれていたサンタ・フェ(Santa Fe)です。観光はサンタ・フェの経済を支えています。歴史・芸術・文化の豊かな州都でもあります。ジョージア・オキーフ美術館(Georgia O’Keeffe Museum)はその中心といえましょう。オキーフは特にアメリカ人に人気のある女性画家です。自然の景観や動植物などの自然を題材としています。オキーフはウィスコンシン州の農家に生まれ、マディソン(Madison)で高校時代を過ごしたこともあります。

サンタ・フェのダウンタウンにある歴史地区、特に総督府に隣接するプラザ(Plaza)にはメキシカンフードの人気レストランが立ち並んでいます。街並みは日干しの土で作られた建築物アドービ(Adobe)です。砂、砂質粘土とわらなどの素材でつくられる建材です。熱を吸収してもゆっくりと放出するので建物の中は涼しく、ニューメキシコのような暑くて乾いた地に適しているといわれています。

この州の最大の都市はアルバカーキー(Alburquerque)です。今では伝説的となりましたが、かってビル・ゲイツ(Bill Gates)がパソコンのOSを開発した町です。もともと大部分がネイティブ・アメリカン(インディアン)の居留地で、今もナバホ(Navajo)、プエブロ(Pueblo)、アッパチ(Apache)インディアンが住む居留地があります。そこで作られる民芸作品、各地にある大小の博物館の展示物、そして大自然が観光客を魅了しています。ネイティブ・アメリカンとメキシコの文化と芸術を最も身近に接することができる州といえましょう。

州鳥はオオミチバシリ(Greater Roadrunner)。その名の通りもの凄いスピードで地上を走ります。体長は50-60cmほどで、腹は白いですが、背中は黒褐色の地に白いまだらもようがあります。頭には黒く短い冠羽があります。足とくちばしはがっしりとしています。目の横に赤と白の縞はついています。尾羽が長いのも特徴です。砂漠地帯に生息し、地上で生活しており、飛ぶことはできますがあまり上手ではありません。鳴き声は鳩に似ています。食性は、小動物から木の実まで食べる雑食性で、狩りの腕も良く猛毒を持つ小さなガラガラヘビやトカゲ、サソリまでも捕食します。厳しい環境の砂漠で生き抜くために適応しているといえます。

アメリカの州鳥 その30 ニューハンプシャーの州鳥: ムラサキマシコ

ニューハンプシャー州(New Hampshier)の紹介です。南は(Massachusetts)、西はバーモント州(Vermont)、東はメイン州(Maine)と大西洋に接し、また北はカナダのケベック州(Quebec)と国境を接しています。ニューハンプシャーの州都はコンコード(Concord)という小さな街です。コロニアルスタイルといわれる町並です。植民地時代の木造家屋のデザインを示します。

この州で忘れられないところがポーツマス(Portsmouth)という街です。1800年設立のアメリカ初の海軍工廠であるポーツマス海軍造船所があります。日露戦争が終わり、当時の大統領ルーズベルト(Theodore Roosevelt)の仲介で講和条約が軍工廠内で締結されたところ、それがポーツマスです。実に小さな港町です。こんなところでポーツマス条約が結ばれたのか、と頭をかしげたくなるようなのんびりとした所です。

講話会議における日本の代表は外務大臣の小村寿太郎、ロシアは元大蔵大臣のセルゲイ・ウイッテ(Sergei Witte)です。日本は、ロシアのバルチック艦隊(Baltic Fleet)を撃破したとはいえ、すでに戦費が尽きてアメリカに講和の仲介を依頼したのです。ロシアも革命の機運が起こり、講和を望んだようです。ポーツマスの博物館に当時の交渉の様子を報道した写真や新聞記事が飾られています。大男のウイッテが小男の小村を威圧するイラストがあります。当時ロシアはヨーロッパの大国、日本はアジアの小国でした。アメリカは太平洋の利権があって日本に同情的な姿勢であったことを伺わせます。

ニューハンプシャーのナンバープレートには「Live Free or Die」と描かれています。「自由を与えよ、さらば死を」という意味です。ニューハンプシャーは最初にイギリスの統治を離脱し独立への歩みを踏み出した州です。

州鳥はムラサキマシコ(Purple Finch)です。体長は15センチくらい。名前は紫ですが、オスの顔から胸にかけて濃い赤色の羽があります。腰も赤色です。胸から下は灰白色に薄赤茶色の斑模様があります。翼は茶褐色で縁には白い部分があります。尾も茶褐色で、先が少し分かれていて燕尾状になっています。メスは派手な赤色がなくて全体に地味な色です。常緑樹に巣を作ります。パートナー探しでオスはメスに餌を与えるのです。

アメリカの州鳥 その29 ニュージャージーの州鳥: オウゴンヒワ

ニュージャージー州(New Jersey)は、ニューヨーク(New York)のハドソン川(Hudson River)の対岸、そしてデラウエア(Delaware)の北東、西はペンシルバニア(Pennsylvania)に接しています。州都はトレントン(Trenton)となっています。ニューヨークの隣なので、多くの人が電車で通勤しています。フィラデルフィア(Philadelphia)へもそうです。最大都市はニューアーク(New Ark)です。

イギリスから最初に独立した13州のうちの一つでもあり、その歴史は古いです。ニュージャージーに最初にやってきた人々はオランダ人、そしてスエーデン人です。やがてイギリスからの移民が増加し、1649年に名前がNew Jerseyとなります。そこから長らくイギリスの植民地となります。独立戦争の頃、ニュージャージーは依然としてイギリスの支配下にありました。植民地軍とイギリス軍がこの州をまたいで大きな戦いが繰り広げられます。そのため、州のニックネームはやがて「革命への交差路」(Crossroads of the Revolution)と呼ばれます。

アイオワの州鳥と同じオウゴンヒワ(American Godldfinch)です。黄金ヒワの名前が指すとおり、オスはとても鮮やかなレモンイエローです。オスの頭部に黒いキャップがみられます。他方、メスはやや褐色がかり、頭部の黒いキャップがありません。簡単にオスとメスとを見分けることができます。鳴き声は高くチッチッチッととても心地よいです。オウゴンヒワの若鳥の羽色はグレーで地味です。

17世紀の後半にオランダ(Netherlands)やスエーデン(Sweden)から移民がやってきます。その後イギリスが支配するようになり、当時覇権を握っていたイギリス王が、フランスの沖にあるチャネル島(Channel Islands)の”Jersey”の名をとってNew Jerseyと名付けます。現在、ニュージャージーの住民は、合衆国で最も裕福な暮らしをしているといわれます。子どもの学力も最も高い州ともいわれています。

アメリカの州鳥 その28 デラウェアの州鳥: ブルーヘンチキン

デラウェア州(Delaware)です。17世紀初頭からスウェーデン(Sweeden)やオランダ(Netherland)からの移民が東海岸に入植します。デラウェアの東はニュージャージー州(New Jersey)、北はペンシルバニア州(Pennsylvania)、西はメリーランド州(Maryland)と接しています。

合衆国の建国に関わった13植民地のうちで最初に憲法を批准したのがデラウェア州です。1787年のことです。車のナーンバープレートには「First State」と誇るように記されています。東海岸のチェサピーク湾(Chesapeake Bay)とデラウェア湾に面し、ロードアイランド州(Rhode Island)に次いで全米で2番目に面積が小さい州です。州都はドーバー(Dover)です。

デラウェア州で有名なのは、大財閥企業デュポン・ド・ヌムール社(DuPont de Nemours, Inc)です。フランスの貴族ピエール・デュポン(Pierre Dupont)が州最大の都市ウィルミントン(Wilmington)に火薬工場を作り、やがてアメリカ有数の化学企業となります。この州には多くの法人が登録されています。法人税が安いため籍だけを置く会社が多いのです。アメリカならではの話です。

州の鳥はブルーヘンチキン(Blue Hen Chicken) で、文字通り青い雌鶏です。独立戦争当時、デラウェアからの民兵は勇敢であることから「青い雌鶏の兵士」と呼ばれました。デラウェアは闘鶏が盛んなところで、闘いに強いシャモが使われ、庶民の間でも娯楽として広まっていたのです。体の色は腹が青く背中は黒い羽で覆われています。鶏冠は赤く闘争心が旺盛な鳥です。雄は成熟すると他の雄を寄せ付けません。

アメリカの州鳥 その27 テネシーの州鳥: マネシツグミ

70代以上の方にはラジオから流れていたテネシー・ワルツ(Tennessee Wartz)という甘い曲が懐かしでしよう。歌っていたのはPatty Pageという当時大変人気のある歌手でした。テネシー州は州境でケンタッキー州(Kentucky)、ミズーリ州(Missourie)、ヴァージニア州(Virginia)など8つの州と接しています。最大の都市はメンフィス(Menphis)ですが、州都はナッシュビル(Nashville)となっています。「チュチュトレイン(Choo Choo Train) 」のチャタヌガ(Chattanooga)もこの州にあります。アパラチア山脈(Appalachian Mountains)を中心とするグレート・スモーキー山脈(Great Smoky Mountains)国立公園はハイカーが押し寄せるところです。産業では、タバコ、綿花、そして大豆などの農産物が有名です。

1933年に当時の大統領ルーズベルト(Franklin Roosebelt)が世界恐慌の対策としてニューディール(New Deal)政策を進めます。テネシー川(Tennessee River)やカンバーランド川(Cumberland River)流域の総合開発です。このプロジェクトを管轄したのがテネシー渓谷開発公社(Tennessee Valley Authority: TVA)です。30余りの多目的ダムを建設し失業者を雇用するのです。

テネシーはカントリーウエスタン(Country Western)の発祥の地です。エルヴィス・プレスリー(Elvis Pressley)もここの出身。彼が主に音楽活動を行ったのがメンフィスです。ナッシュビルにも沢山の南部のライブを楽しめるところがあります。その響きはBluegrassと呼ばれるアコースティック音楽のジャンルです。演奏にはギター、マンドリン、フィドル(ヴァイオリン)、ギターなどの楽器が使われます。アパラチア南部に入植したスコッチ・アイリッシュ(Scotch Irish)といわれる北アイルランドやスコットランドから移住した人たちの伝承音楽をベースにしているようです。

州鳥のマネシツグミ(Mocking bird) は、真似ツグミとも呼ばれます。「mocking」とはああざけるとか、ふざけていらいらさせるという意味です。Mockingの名の通り、他の鳥の鳴き声を真似るのが上手です。全長は23~28cm位。頭部と背中が淡い灰色、腹部が白か灰色を帯びた白の羽毛で覆われています。翼の色は体と比べて濃く、全体的に黒色で初列風切羽の根元に白い部分があります。尾は長くて黒く外側が白い羽となっています。くちばしは細くて短く、顔はくちばしから目に向かって黒の筋が横切ったような模様をしています。尾羽が長いのも特徴です。実に端正な姿をした鳥です。テキサス(Texas)、フロリダ(Florida)、ミシシッピー(Mississippi)の州鳥にもなっています。

アメリカの州鳥 その26 テキサスの州鳥 マネシツグミ

テキサス(Texas)はアメリカでは第二の面積を占める南部の大きな州です。1836年にテキサス共和国として一方的にメキシコから独立を宣言しますが、同年メキシコ軍の攻撃により敗れます。入植者がたてこもって抵抗した拠点がサンアントニオ(San Antonio)にあるアラモ砦(The Alamo)。デビー・クロケット(Davy Crockett)、ウイリアム・トラビス( William Travis)など指導者の名前が浮かんできます。映画も作られました。リオグランデ川(Rio Grande River)を挟んでメキシコと接しています。1900年代に油田が発見され、以来多くのハイテク企業が集まります。

最大の都市はヒューストン(Houston)で有名な航空宇宙センター(Space Center Houston)があります。現在の州都はオースチン(Austin)ですが、近年特に人気が高い町がリバー・ウォーク(River Walk)のあるサンアントニオです。リバー・ウォークは小さな河の両岸にレストランが並んでいます。散歩、船下りにも楽しいところです。今や年間1,000万人以上が訪れる全米有数の観光都市としても知られています。

ブッシュ(George Busch) 大統領親子はテキサスの出身です。メキシコ湾や内陸部に油田が多く、エクソンモービルなどの石油会社の本社があります。カウボーイ文化に象徴される放牧業や畜産業でも知られています。アメリカン航空、コンチネンタル航空、AT&Aなど多くの企業の本拠地となっています。カリフォルニア、ニューヨークと並ぶ商業や経済の中心の州です。

州鳥はマネシツグミ(Northern Mockingbird)です。農地や公園などの住宅があるところや草木の生い茂った草原や砂漠の低木林など木が生えている場所に生息します。食性は雑食でバッタ、アリ、クモ、甲虫などの無脊椎動物やトカゲなどの小型の脊椎動物といった動物性のものと果実やベリー系の植物性のものを食べます。鳴き声を発するのは主にオスのマネシツグミで他のオスから自分の縄張りを守るための警告や繁殖期に交尾相手を誘うために鳴ます。数百の鳥の鳴き声を真似することができ、鳴きまねは犬の鳴き声、ピアノの音や車のクラクションまでまねることができる器用な鳥です。

アメリカの州鳥 その25 ジョージアの州鳥 チャイロツグミモドキ

大西洋に面したジョージア州(Georgia)。南はフロリダ州(Florida)、東は大西洋とサウスカロライナ州(South Carolina)、北はノースカロライナ州(North Carolina)とテネシー州(Tennessee)、西はアラバマ州(Alabama)に接しています。州都で最大の都市はアトランタ(Atlanta)です。コカコーラやCNN、デルタ航空(Delta Air Lines)、保険会社アフラック(Aflac)の本社などがあります。

私がアメリカ留学のために家族と一緒に出かけ、英語の研修を2か月受けたのがジョージア州のステイトボロ(Sateboro)という小さな街です。そのせいもあってか、私の英語には南部訛りがあるといわれます。ジョージア訛りというのは、母音を引っ張っり鼻にかかった感じでやわらかく発音するのです。この発音は「draw」と呼ばれます。

「風と共に去りぬ」(Gone with the Wind)を書いたマーガレット・ミッチェル(Margaret Mitchell)の博物館(The Margaret Mitchell House)がアトランタのダウンタウンにあります。マーチン・ルーサー・キング牧師が説教していたエベネゼル・バプティスト教会(Ebenethel Baptist Churchi)、そして氏の功績を称えるThe King Center博物館は必ず立ち寄るべきところです。マスターズ・トーナメントのゴルフ大会が開かれるのがオーガスタ(Augusta)です。スイカ、メロンなどの果物が多いのです。特に桃やは有名なので「桃の州」(Peach State)と呼ばれています。西瓜はラクビーボールのような形をしていて、トラックで売りにきます。

州の鳥はチャイロツグミモドキ(Brown Thrasher)となっています。体全体が茶褐色で目の周りは黄色です。さえずりが得意です。庭の餌箱にやってくる人なつっこいところがあります。嘴は少し丸まっています。春や夏になると、オスはしばしば高い木にとまり、さえずりを始めます。鳴き声の種類は1100にも及ぶとのこと、メスを呼ぶのです。自分の巣を守るために、ときに人や犬を襲うこともあります。オスとメスとで交互に抱卵し、雛に餌を与えます。

アメリカの州鳥 その24 サウスダコタの州鳥: コウライキジ

サウスダコタ州(South Dakota)の州都はピーア(Pierre)。州で最も大きな都市はスーフォールズ(Sioux Falls)となっています。サウスダコタ州は農業と畜産が主要な産業です。五大品目として牛、トウモロコシ、大豆、小麦、そして豚が有名です。州名のダコタはスー族(Sioux )の言葉(仲間)から由来します。

州の南部にBlack Hillsという丘陵地帯があります。背丈の低い松で覆われています。スー族の領土であり儀式の聖地として崇められている地域です。そこは国立公園となっています。この丘陵地帯にあるのがマウント・ラッシュモア(Mount Rushmore)で、多くの観光客がやってきます。山の岩盤に歴代4人の大統領の顔が彫られています。左からジョージ・ワシントン(George Washington)、トマス・ジェファソン(Thomas Jefferson)、セオドア・ルーズベルト(Theodore Roosevelt)、アブラハム・リンカン(Abraham Lincoln)です。

州鳥のコウライキジ(Ring-Necked Pheasant)のオスは、青緑の頭、顔の赤い肉垂(にくだれ)、独特の白い首まわりの輪などで鮮やかな色合いの鳥です。他方、メスはかなり地味な黄色がかった茶色で、長く尖った尾を持っています。コウライキジのオスは10羽程度のメスとのハーレム(Halem)を作り、秋に群れをつくり翌年の春まで群れで生活します。

コウライキジは低木の多い野原や農地を好みますが、森林地の藪や湿地にも生息します。メスは野原や生息地の縁に巣を作り、12個以上の卵を産み、オスの助けなしで卵を孵化させます。穀物や種子、昆虫、小動物といったエサがあるのが地面なので、地上で生活します。