心理学のややこしさ その二十三 エビングハウスと記憶術

エビングハウス(Hermann Ebbinghaus)の記憶に関する実験は独特です。それは、自分自身を被験者としたことです。彼の実験はまず単語リストを記憶し、そのうちいくつを思い出せるかをテストします。その際、連想が働くのを避けるために、単語は「無意味綴り」、例えばCBXとかLKRなどとします。

エビングハウスは次のような結論に達します。
1 記憶したことを忘れるのは、最初の9時間の間に急速に進行する。
2 一度覚えて忘れた項目は始めて学ぶ項目よりも早い時間で再学習される。
3 十分に学習された素材は、それだけ長く記憶に残る。
4 有意味は事象は不規則で無意味な事象に比べて10倍くらい以上の時間、記憶される。
5 ある物の系列の最初と終わり近くの項目は最も簡単に覚えられる。
6 間隔をおいてより長い時間繰り返された学習は、どんな主題に関しても記憶力の向上をもたらす。

ある素材を学習し、それを一時間聞く中で記憶に焼きつければ、私たちはそれをずっと長い時間覚えておくことができるばかりか、想起するのもはるかに早くなるとエビングハウスはいいます。