心理学のややこしさ その十六 「バーナム効果」

新宿駅前には、夜になると必ず辻占いが坐って、通りがかりの人の「相談相手」になっています。使うテクニックはいろいろあるでしょうが、既述した人の血液型や体型をみてなんらかの託宣をしているはずです。以下はその例です。

「あなたはB型だから好奇心旺盛で社交的でしょう」、と占いが言ったとします。ですが、B型以外にも社交的な人はAB型もO型にもいるはずです。
・「何か最近悩みことがあるようですね」、と占いが言ったとします。しかし誰にでもなんらかの悩みはあるものです。

こうした誰にでも該当するような曖昧で一般的な性格をあらわす表現を、自分だけに当てはまる正確なものだと捉えてしまう心理学の現象を「バーナム効果(Barnum effect)」といいます。占い師とか占星術師はこの効果を「勉強」しています。

「バーナム効果」の命名者はアメリカの心理学者ミール (Paul Meehl) です。彼は1960年代に活躍した興行師のバーナム(Phineas Barnum)がよく使っていた言い回し、「We’ve got something for everyone.」 “誰にでも当てはまるものがある” という言葉に因んで名付けたといわれます。バーナムは相当の興行主として活躍します。やがて「地上最大のショウ(The Greatest Show on Earth)」でサーカス業界初の興業列車を立ち上げるほど全米で人気を博したようです。

誰にでも該当しどうにでもとれることを、自分だけに当てはまる極めて正確な内容だと思い込んでしまう心理的な現象を逆手にとり、辻占いや詐欺師らはビジネスに結びつけています。