ウィスコンシンで会った人々 その90 素人芝居噺 「蛙茶番」

江戸っ子らしいはねっかえりの素人役者が出てくる芝居噺を紹介する。これまで犬や鹿が出てくる話はいくつか紹介した。今回の芝居噺には蛙と蛇が登場する。

町内の連中が集まって素人芝居のある日。芝居に付き物の「役揉め」が始まる。ガマ蛙の縫いぐるみを着るのは嫌だと、建具屋の伝法な若旦那、半次がドタキャン。そこで芝居好きの小僧、定吉が代役でガマ蛙の役をする事になって一件落着する。だが役決めで一難去ってまた一難。

今度は、番頭が場内の整理をする舞台番役に半次を指名する。「町内一の芸人」を自負する半次は役者志願だったが、「化け物芝居ならスッピンで出てもらうが、今回は舞台番に回ってもらおう」と釘をさされる。定吉は半次に舞台番になったことを伝えにいく。だが、半次に剣突を食らって定吉はすごすごと戻ってくる。

そこで機転の利く番頭が定吉に入れ知恵をつける。
番頭 「いいか、半公が岡惚れしているみぃ坊が顔をポーっと赤くして次のように言っていたといえ!」

みぃ坊 「素人がいやがる舞台番を引き受ける半ちゃんは利口なんだ。半ちゃんはいなせ 。だから、さぞかしいい舞台番ができるに違いないわ」

みぃ坊 「あたしお芝居なんかどうでもいいけど、半ちゃんの粋な舞台番を見に行こうっ!」

こうして、定吉は舞台番姿を楽しみに芝居を見に、みぃ坊がやってくると持ち上げ、何とか半次を呼び出すのには成功する。しかし、ひじり緬の真っ赤な褌を締め、それを観客に見せて注目を自分に集めようと考えた半次だが、肝心の褌を湯屋の脱衣場に忘れ芝居小屋にやってくる。舞台に姿を現わすがみぃ坊は見つからない。ガマ蛙役の定吉は「青大将が睨んでる」と言って舞台に出ようとしない。そして客席は大パニックになる。

miyakohikigaeru2-3 url