トランプ大統領は以前から、政府内部に自分の政策を妨害する勢力がいると主張してきました。特に問題視しているのが、選挙で交代しない官僚や情報機関の関係者です。2025年に始まった第2次政権では、こうした政府組織の再編のために、人事や権限を大きく変えようとしています。多くの官僚が解任されたり、退職を勧められたりしています。
選挙で選ばれた正当な大統領や議会などの裏側で、官僚機構、軍部、諜報機関(CIA・FBIなど)、金融界、大企業などが非公式なネットワークを築き、実質的な国家の政策決定を支配していると受け止められてきました。それが「ディープステート(Deep State)、「闇の政府」概念や陰謀論です。1990年代にトルコの「国家内部の国家」を指す言葉として生まれたのち、アメリカをはじめ世界的に普及しました。さらにトランプ大統領らが政治的対立軸や改革の対象として言及したことで広く知られています。議会などの表向きの政治権力とは別に、政府内部や国家機関に根を張り、政策や国家運営に強い影響力を及ぼす勢力を指すのが「ディープステート」です。この用語が政治的なスローガンから実際の政府改革の問題に結びついて論議されているのです。
「ディープステート」の典型的な例としては、CIAやFBIなど情報機関のあり方が話題になっていることです。CIAやFBIなどは、一般国民には見えにくい情報を扱い、国家の安全保障に大きな影響力を持っています。そのため、次のような疑問が生じます。
・情報機関は本当に中立なのか。
・政治家に都合の悪い情報を隠すことはないのか。
・情報機関が政治的な目的に利用されることはないのか。
・国民が選んでいない人々が、政策決定にどこまで関与してよいのか。
「ディープステート」で論議される一つは、政府の権力は誰が握るべきなのかという設問です。民主主義では、選挙で選ばれた政治家が国民の意思を反映して政治を行います。しかし、実際の政府には長年勤務している官僚や専門家がいます。日本で譬えれば、財務省という官僚組織もそうかもしていません。彼らは政治家が交代しても仕事を続けます。新米の政治家にレクもします。これは行政の専門性や継続性を保つために必要な仕組みなのですが、、、。
他方で、官僚組織が強大になりすぎれば、選挙で選ばれた政治家の政策が実現しにくくなる可能性もあります。2026年には、トランプ大統領が政府職員をどこまで自由に解任できるのか、独立機関の権限をどう考えるべきかという議論も、アメリカの法律・政治学の世界で活発になっています。「ディープステート」の批判側は「実体のない陰謀論」と捉える一方、支持側は「既得権益を持つエリート層による支配」と主張しています。

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