アメリカでは、1492年10月12日にクリストファー・コロンブスがアメリカ大陸に到達したことを記念する「コロンブス・デー」が連邦祝日として制定されました。しかし、コロンブスの到達はヨーロッパ側から見れば「新大陸の発見」ですが、先住民族にとっては植民地化、土地の奪取、病気や暴力による人口減少といった歴史の始まりでもありました。
そのため、「コロンブスを英雄視して祝うのではなく、もともとその土地に暮らしていた先住民族の歴史や文化、直面した苦難を称え振り返る日にすべきだ」という運動が広がり、コロンブス・デーと同じ10月第2月曜日に対置する形で「先住民の日(Indigenous Peoples Day)」が提唱され制定されました。
ウィスコンシン州全域でも「先住民の日」としてネイティブ・アメリカン(Native Americans)による祝賀行事が開かれています。トニー・エバーズ(Tony Evers)知事は、2019年に行政命令(Executive Order)に署名して以降「コロンブス・デー」に対抗する祝日として、10月の第2月曜日を「先住民の日」と定める知事令に署名しました。これにより、ウィスコンシン州は、「先住民の日」を祝うバーモント州(Vermont)、メイン州(Maine)、ニューメキシコ州(New Mexico)などの仲間入りをすることになりました。
ウィスコンシン州のオネイダ族(Oneida Nation)は2012年から「先住民の日」を独自に祝ってきましたが、同部族のテハッシ・ヒル(Tehassi Hill)議長は、州全体で認められることの重要性を強調しています。
「自分たちの文化を分かち合い、この国の全域でネイティブ・アメリカンが果たしてきた役割や、現在も築き上げている役割について適切な教育を行うための機運が高まっている。」
ホー・チャンク族(Ho-Chunk Nation)最高裁判所の判事であるトリシア・ザンカー(Tricia Zunker) は、地元の当局者と協力し、ウォーソー市(Wausau)とマラソン郡(Marathon County) において独自の「先住民の日」を制定する取り組みを行いました。「コロンブス・デーという祝日だけでは、先住民が被った影響を十分に認識しているとは言えない。それ故、これは失われた多くの人々に敬意を表す一つの方法なのだ」と彼女は述べています。
ザンカーは「先住民の日」を記念する伝統的な集会・儀式である「パウワウ(powwow)」を主催し、その他のイベントが予定されています。先住民族による伝統的な歌や踊り、食事、手工芸を楽しむ公開イベントが「パウワウです。部族の歴史家であった故アメリア・コーネリアス(Amelia Cornelius) を称え、ある公園を彼女の名前にちなんで改名する計画を立てました。マディソン・エリア・テクニカル・カレッジ(Madison Area Technical College)では、マディソン市初のネイティブ・アメリカン出身市議会議員であるアルヴィナ・マーティ(Arvina Martin)と、ネイティブの詩人であるルイス・クラーク3世(Louis V. Clark III)による講演が行われます。
フォンド・デュ・ラック市(Fond du Lac)にあるマリアン大学(Marian University)2年生のディラン・グランキスト(Dylan Granquist) は、エバーズ知事が「先住民の日」を制定した際、すでにネイティブ・アメリカンの学生のためのクラブを設立しようと取り組んでいました。そこで彼はキャンパス内での祝賀イベントの企画に協力し、自身も「スモーク・ダンス(smoke dance)」を披露しました。
オネイダ族の一員であるグランキスト(Granquist) によると、マリアン大学に在籍する先住民の学生は20人以下だといいます。 「この学校への出願を希望する先住民の学生を増やしたいと考えています。また、先住民以外の学生や教職員に対して、部族ごとに異なる先住民の文化について伝え、学び、共に称え合う機会を作りたいのです」とグランキストは語ります。マリアン大学3年生でモホーク族(Mohawk) 出身であるタイレン・ブーツ(Tyren Boots)は、将来的に「先住民の日」がより広く認知されるようになることを望んでいると述べています。
「これは非常に大きなことです」とブーツは言います。「今後、さらに多くの学校が学生の存在をしっかりと反映するようになれば素晴らしいと思います。学校だけでなく、より多くの州においても同様に。」



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