極端な円安はなにをもたらすのか

一部の主にリフレ派と呼ばれる経済学者が「極端な円安(1ドル=360円など)になっても日本経済は問題ない」あるいは「むしろプラスになる」と主張しています。リフレ派とは、物価下落であるデフレ状態から脱却するため、積極的な金融緩和やインフレ目標の設定によって、緩やかなリフレーションという物価上昇を起こすべきだと主張する経済学者や政策関係者のことです。極端な円安を容認する理由は、為替介入による無理な固定や急劇な変動がない限り、市場メカニズムと経済の調整能力が働くと考えられているためです。その具体的な根拠は以下の4点に集約されます。

東京新聞より引用

企業の円建て利益・国富の増大
 日本の企業や政府は莫大な海外資産を有し、その対外純資産は世界一といわれます。円安が進むと、これら外貨建て資産を円換算した際の価値が大幅に増加します。つまり外貨建て資産の評価益がでるのです。次に、グローバル企業の海外売上高や現地子会社の利益を日本円に換算した金額が膨らみ、決算上の業績が大きく改善し企業業績の向上が見込まれるのです。

国内産業・観光の圧倒的な価格競争力
 輸出および国内産業の復活: 円安によって日本の製品やサービスが海外から見て格段に安くなります。これにより輸出が伸びるだけでなく、国内企業の生産拠点回帰や国内調達への切り替えが進むとされます。外国人観光客にとって日本での消費が非常に割安になるため、観光やサービス消費が爆発的に拡大し、地域経済を潤すと期待されます。インバウンド需要の激増が期待されるのです。

朝日新聞より引用

市場メカニズム(購買力平価)による自己調整
 為替レートが極端に円安に振れたとしても、市場の取引によって物価や金利、貿易バランスが変化し、経済にとって適切な実質購買力に自然と落ち着いていくという見解です。長期的には購買力に応じた水準へ収束するという見解です。

為替変動よりも名目GDPや雇用が重要
 通貨安による物価上昇というインフレと企業利益の拡大は、名目GDPの押し上げや雇用の安定につながります。「自国通貨安で滅んだ先進国はない」とし、円安そのものよりもデフレ脱却や雇用・成長率を最優先すべきだという立場です。通貨安は名目成長を促進するという見解です。

 他方で、多くの主流派経済学者や実務家はこの説に対して極めて慎重で批判的です。エネルギーや食料を輸入に頼る日本において、過度な円安は生活必需品の値上がりを招き、家計の購買力を直接圧迫します。輸入コストの高騰という悪性のインフレを起こすという懸念です。さらに、賃金の上昇が輸入物価の上昇に追いつかなければ、国民の生活水準が低下する懸念があります。実質賃金の低下リスクがあると指摘するのです。円安、円高にはプラスもマイナスもあるということです。

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