アメリカの大学における図書館司書の養成はどこでも共通しています。それは、アメリカ図書館協会(American Library Association: ALA)の指針に沿って大学の修士課程において、図書館司書養成課程を設定する仕組みとなっていることです。大学が自由に養成課程を作り、司書を養成することはできないのです。アメリカ図書館協会は、1924年に認定制度を開始し、全米各地の大学における図書館情報学修士課程に指針を与えています。民間組織が大学のカリキュラムを認定するのは、イギリスでも同じです。もっともイギリスの司書制度がアメリカに導入されたのです。
ウィスコンシン大学マディソン校(University of Wisconsin-Madison) の図書館情報学修士課程も図書館協会の認定を受けて図書館司書を養成しています。課程を修了すると卒業生は図書館情報学修士として図書館司書となります。ウィスコンシン大学の図書館情報学修士課程は、情報学部(iSchool)にあり、革新的な情報専門家を目指す人材を養成しています。図書館情報学修士課程は、キャンパスまたはオンラインで受講可能です。36単位のプログラムには、必修科目が最小限に抑えられており、図書館学、デジタルアーカイブ、情報技術とユーザー・エクスペリエンス、データ/情報管理と分析、情報組織化の5つの専門分野から、学生は柔軟に選択できるようになっています。
ウィスコンシン大学の図書館情報学修士課程は、多様化し技術革新が進んでいます。グローバル化した社会において、情報の作成、収集、整理、保管、分析、検索、配布、利用を行う情報サービスを開発、提供、評価する能力を養成するとあります。フルタイムの学生は通常2年間で修士課程を修了し、パートタイムの学生は3~4年間で修了します。学生は、学位取得の一環として、大学が義務付けている実習(practicum)を通して実践的な経験を積むことができます。
実習期間中、学生は図書館利用者と専門家の両方と交流し、彼らは将来のロールモデルとなる可能性が生まれます。受け入れ先の図書館職員は、新鮮なアイデアを持つ学生との交流によって、しばしば刺激を受けるといわれます。実習は、学生が教室で学んだ知識、スキル、思考習慣を実際の職場環境で統合し、応用する機会を提供するものです。なお、実習先は学生自身のキャリア目標に基づいて選択できるようになっています。
2022年の秋学期から修士課程に所属する学生は、iSchoolの修士課程カリキュラムで36単位を取得しなければなりません。履修要件には、コア科目3科目、技術科目1科目以上、マネジメント科目1科目以上、図書館情報学基礎科目群から2科目、多様性・公平性・包摂性(diversity-equality-inclusion: DEI)科目1科目、専門教育の総仕上げとなる実習、およびプログラムレベル学習成果(Program Learning Outcomes: PLO)評価が含まれます。
36単位カリキュラムの詳細は、ウィスコンシン大学大学院ガイドの「図書館情報学修士課程」にあります。キャンパスプログラムまたはオンラインプログラムのいずれかを選択し、「要件」を選択すると、必須科目が表示されます。
キャンパスおよびオンラインのiSchool修士課程の学生は、修士号取得の一環として、ウィスコンシン大学マディソン校リーダーシップ認定証を取得できます。認定証の取得によってキャリアパスがさらに広がります。アメリカは、認定証を取得するとそれがすぐに就職や給与にプラスに反映されるのが特徴です。
今やデジタルライブラリーの構築が進展しています。iSchool修士課程ではユーザー中心の情報技術の設計、開発、管理を行う能力を身につけることができます。就職先としては、ユーザー・エクスペリエンスとウェブデザイン、デジタルヒューマニティーズ、デジタル資産管理・キュレーション、データベース・データ管理、IT研修・指導など多様な職業の選択肢が広がるのです。
iSchoolは、ウィスコンシン大学マディソン校内の図書館、アーカイブ、情報機関、ウィスコンシン歴史協会、ウィスコンシン州内の大学、公共図書館システム、マディソン都市圏学区、そして地域および全国規模の企業や非営利団体と提携し、すべての修士課程学生に指導付きの実習またはフィールドワークを提供しています。 図書館情報学修士課程を修了した学生は、以下のプログラムレベルの学習成果を達成することになります。
1. 社会、法律、政策、倫理に関する情報問題について理解を得る。
2. 情報または情報媒体を、使いやすさとアクセス性を考慮して整理するために、適切なツール、標準、またはベストプラクティスを用いる。
3. 調査や意思決定のために、プログラム、サービス、またはシステムを評価するための適切な研究方法論を設計する。
4. 情報組織の管理に重要な専門能力について理解する。
5. 情報専門職にとって重要な情報技術に関する能力を示す。
6. 授業で学んだ概念、原則、または理論を、実習、応用的な業務経験、または実践的な授業課題を通して広く定義される現場実践に適用する。
7. 情報組織、利用、サービス、または専門職を取り巻く構造的な不平等、特に特権と疎外との関連について理解を示す。



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