図書館司書とは その四 司書養成の疑問と課題

諸情報の収集と無料での提供という観点からすれば、現代の図書館はそれなりの役割を果たしてはいます。ですが情報通信技術(ICT)の更なる発展や、デジタルトランスフォーメーション(DX)というの顧客ニーズに即した新たな価値やサービス提供など デジタル化による迅速な意思決定の変化などを図書館司書も学ぶべき時代となっています。

 司書養成の基本となることは、図書館学の理解です。我が国の図書館法が、この学問分野をどのように規定し、司書の養成に反映しているかです。平成24年度から司書養成科目の新カリキュラムが全面的に改定されています。しかし、以下のような疑問や課題が浮かびます。

 司書養成大学や司書講習の機会が、以上のような現代的な変化に対応するプログラムになっているかどうかです。たったの約2ヶ月間で24単位を履修するというのは、驚くべきことです。しかも、講習による単位の履修にともなう評価や評定が明確でないことです。実習の評価を誰がするのかも不明です。前稿で引用した筑波大学の司書養成のカリキュラムでは、「インターンシップは選択科目ですが,司書を目指す人は就職先として希望する館種の図書館を実習先に選択して受講するよう強く勧めます。」とあります。インターンシップと実習の違いは、明確ではありませんが、図書館における働きの経験のない学生にインターンシップや実習を必須としないのは理解できかねることです。

 次に、卒業時に自動的に資格が取得でき、認定試験などがないことです。受講すれば単位がもらえるのであれば、誰もが司書の資格をとれます。講習を受けた者の資質や能力が不明なまま資格を与えるのは無責任というべきです。図書館学という科学に対する侮辱ともいうべきです。

 司書養成の講習に関する話題です。講習は、本来現職の図書館職員向けのものとされているため単位認定が甘く、「暇と講習料さえあれば取得できる資格」といわれるほど講習内容が貧相でおざなりな講習会といわれています。本当かどうかは不明ですが、、、我が国の司書に関する根本的な課題とは、司書の専門性と役割を重視しない風土、そして図書館学の未熟さにあると考えられます。

 現在の日本の公立図書館には、非正規である会計年度任用職員や業務委託によって運営されているところがあります。司書の資格を持っていても正規雇用となるケースが少なくないといわれます。注意すべきこととしては、「司書資格を持っていること」と「図書館員として採用されること」は別です。公立図書館では、自治体の公務員試験に合格する必要があります。

鎌倉市中央図書館より引用

 ただし、「司書職」として社会人経験者枠、障害者枠、就職氷河期世代枠など、特別枠を設けている自治体は実際に存在します。神奈川県は2026年度に障害者枠での採用選考を実施します。長野県の飯田市は社会人採用枠で司書を募集しています。鎌倉市は、30年ぶりに専門職として司書の正職員を採用し、2人の新任司書が4月から市立中央図書館で働き始めています。しかし、多くの自治体では一般行政職として採用し、後に図書館へ配属します。大学の場合は、職員採用試験や、国立大学法人等職員採用試験を受ける必要があります。

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