アメリカにおける図書館司書(librarian)の養成は、専門職としての地位を確立するため、以下のような非常に明確なアカデミック・パス(academic pass) が定められています。それを紹介することにします。
1 専門職としての学位(Library and Information Science:ALA認定修士号)
アメリカでプロの司書として働くためには、大学院でALA(アメリカ図書館協会–American Library Association: ALA)が認定した修士号を取得することが必須条件となっています。学位名は 一般的には MLIS (Master of Library and Information Science) や MLS (Master of Library Science) と呼ばれます。アメリカ図書館協会は各大学におけるALA認定の修士課程プログラムの質を厳格に審査し認定しています。この「ALA認定」を受けていない学位では、多くの図書館で採用の舞台に上がることができません。

2 修士課程への入学条件
日本では大学の学位単位で資格が取得できますが、アメリカではまず4年制大学を卒業して学士号を取得している必要があります。ただし、学部時代の専攻は問われません。文学、歴史、科学、コンピューターサイエンスなど、多様なバックグラウンドを持つ人が集まるのが特徴です。コミュニティカレッジ(community college)などの単科大学卒ではALAの認定を受けることはできません。
3 学習内容と専門性
アメリカの大学では修士課程は通常1年半から2年です。司書として認定されるには、以下のような高度な専門知識を学びます。
・情報組織化: 分類法、メタデータ、データベース設計。
・情報サービス: レファレンス技術、情報リテラシー教育。
・管理・経営: 図書館経営、予算管理、人事、コミュニティ分析。
・テクノロジー: データサイエンス、デジタルアーカイブ、プログラミングの基礎。
4 職種に応じた追加要件
勤務する図書館の種類によっては、修士号に加えてさらなる資格が必要になる場合があります。学校司書 (School Librarians)は、 州ごとに定められた教員免許や、学校図書館メディア専門職としての認定が必要となります。大学図書館・専門図書館での採用のためには、法学、医学、音楽など特定の専門分野の知識や、場合によってはその分野の博士号や別の修士号を併せ持つことが求められます。
5 継続教育(Professional Development)
テクノロジーの進化が速いため、学位取得後もワークショップやアメリカ図書館協会学会員として年次大会などへの参加を通じた継続的な学習が強く推奨されています。こうした大会参加で実践発表とか論文発表を続けると、給与が一ランク上がるなどキャリアアップの重要なステップとなります。
まとめますと、アメリカでは図書館司書は「学部の単位で取れる資格」ではなく、「大学院レベルの専門職学位(プロフェッショナル・ディグリー; professional degree)」として確立されている点が最大の特徴と言えます。
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