Last Updated on 2025年3月10日 by 成田滋
2020年8月のギャラップ調査(Gallup poll)では、親の10%がホームスクール(HS) を予定しているという世論調査を発表しました。これは、10年前の割合の2倍となっています。親が子どもをHSに通わせる理由はさまざまです。2003 年と 2007 年の国立ホームスクール教育研究所では、親に子どもをHSに通わせる特定の理由を尋ねました。それによりますと生徒の 3 分の 2 以上の親が選んだ 3 つの理由は、学校環境への懸念、宗教的または道徳教育の実施、および他の学校で受けられる学業指導への不満ということになりました。
2003 年から2007年にかけて、親が宗教的または道徳教育の実施のためにHSに通わせていると回答した生徒の割合は、72 %から83%に増加しました。2007年に親がHSに関して最も重要だと答えた理由として、宗教的または道徳指導をしたいという要望が 36%で最も多くなりました。通常、そうした回答を寄せる人々の宗派は福音系キリスト教(Evangelical Christianity)です。
宗教的または道徳教育に続いての理由としては、学校環境(安全性、薬物、または同級生からのいじめなど)に関する懸念(21%)、学業指導への不満(17%)、家族との時間、経済、旅行、距離など(14%)が続きました。その他の理由には、学習障害や長期の慢性疾患のある子ども、宣教師や軍人の家族など頻繁に移動するが故に家族中心の安定性を求める、などが挙げられました。
親の中には、子どもたちが幅広い年齢層の人々と交流する、旅行する、校外学習をする、博物館を訪れる、野外教育を受ける、コンサートに参加する、職場を訪問する、政府機関を見学する、メンターを探す、屋外で自然を学ぶ機会を増やすと考える人もいます。HSをしている家庭は、通常、従来の学校よりも多くの校外学習をしたり、多くの場所を訪問するような機会に恵まれるはずです。
多くの親が、宗教や道徳教育をしたいことをHSの主な理由の 1 つとして挙げていますが、調査によるとHSを受けた若者は、私立または公立の学校に通う同年代の若者よりも著しく信心深くなるというわけではないようです。テキサス州にあるバプティスト系のベイラー大学(Baylor University) の社会学者ジェレミー・ユッカー(Jeremy Uecker)が全国青少年宗教調査(National Study of Youth and Religion)のデータを分析したところ、HSを受けた若者は、公立または私立の学校に通った同じ年代の若者よりも宗教的に信心深くはないと分析しています