教師の心の病が増えている その2 解決の提案

Last Updated on 2025年3月8日 by 成田滋

教師の心の病をなくすには、教師を忙しいという実態から解放することである。忙しいというのは、教室の指導とその準備のために忙しいのではない。むしろ、それ以外のことで追いまくられている。それを改善することだ。そのために次のことを実行すべきだ。
 1 会議を減らす。会議の多くは非生産的なものだ。
  2 各種の研修は減らす。研修といっても大抵は座学であり、参加者は昼寝をしている。
  3 授業に関連のない事務処理は事務方にやらせる。
  4 部活への参与などは極力減らす。
  5 連絡事項は校内のネットワーク上で徹底する。

次ぎに教師にゆったりと考える時間を与える。そのためには次のことを実行する。
  1 遅くとも6時には下校する。
  2 家で家族とのんびりしたり趣味を楽しむ時間をつくる。
  3 実践研究をまとめ発表したりして、授業の成果を共有するように努力する。
4 自分の専門分野以外の仕事は断る。いじめの対応などはしない。
  5 自宅からの保護者の連絡や相談事はしない。

次ぎに校長ら管理職への提言である。
  1 教室を頻繁に回り教師の授業場面を観察する。その後、それに基づいて必要な助言をする。校長会などへの出席は時間の無駄と考えるべきだ。
  2 理論武装し理不尽な保護者に対して毅然とした姿勢で臨む。
  3 ネットワークを利用し教育委員会や学校間との連絡を密にする。
  4 地域の団体や企業に対して施設充実のための支援を求める。
  5 自分の学校は一番であるという誇りを教師と保護者に持たせる努力をする。

おしまいに教育委員会がなすべきことの提言である。
  1 顧問弁護士を採用し、悪質ないじめや保護者の理不尽な要求に対応させる。
  2 保護者からの不服の申し立ての手順を公開し、ガラス張りの対応をする。
  3 教員の研究発表を奨励し、優秀な教員を表彰するなどして教員のやる気をかき立てる。
  4 心の病気などで教師職として困難だと判断するときは、職場転換や勧奨退職などを促す
  5 教員採用試験では、産業界などからの人材も登用する。場合によっては学校毎の採用も認める。海外での活躍の経験などを重視し、青年海外協力隊などからも人材を求める。
  6 教員免許状の更新には研究発表、表彰、海外研修などの努力を反映させる。
  7 学校の事務員を増やし、教師が本来の仕事に専念できるようにする。
  8 学校の組織を多様な専門性を持つ者の集団とする。例えばスクールカウンセラーやソーシャルワーカーを専任として雇い教師と養護教諭らとティームを組ませる。
  9 司直と連携する。

心の病の原因は、「教師はなんでもやるのが当たり前だ」という誤った期待とそれによる過重な勤務状態にある。外国の教師に心の病が少ないのは、専門性を発揮する職場環境があって、授業以外の仕事は別のスタッフがする体制があるからだ。いじめなどで生徒指導をするのは、スクールサイコロジストやソーシャルワーカーの仕事なのである。保護者からのクレームについての対応は校長などが行う。当然ながら教師はそうした対応はしないし、してはならないのだ。

「自殺の練習」に関わったとされる中学生が書類送検された。学校だけで対応するのにはもはや限界があることを示している。教師の負える仕事ではない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA