ChatGPTの今とこれから

Last Updated on 2025年4月5日 by 成田滋

2025年1月、何年ぶりかで親戚や友人を訪ねるために札幌へ行きました。丁度ボストンから帰郷していた長男と一緒の旅です。東京と違って気温は低く、雪が踏み固められた歩道はツルツルです。長男が生まれた札幌の郊外を訪ねました。かつての自宅付近は開発されて住宅がびっしりと建ち並び、景色は一変しています。自宅跡を探したのですが、住所名が変わりなかなか見つかりません。郵便局があったのでそこで昔の番地を探してもらい、ようやく40年ぶりの自宅付近がわかりました。

 宿では長男は朝晩パソコンでなにやら書き物をしています。聞いてみると、勤務する大学で一時審査を通った教員の終身身分保障制度ーテニュア・トラック(tenure track)のための審査結果を書いているとのことです。アメリカの大学においては、博士号取得後、任期付きの助教授ーアシスタント・プロフェッサーは、テニュアを取得することにより研究や教育自由が保障されると同時に、経済的な安定を得ることができるのです。

 テニュアの審査では、まずは学科での推薦、テニュア委員会の設置、学部での推薦・テニュア委員会での投票、そして副学長意見書を経て学長の裁決となります。この期間、一年がかりの審査となります。もし、テニュア審査でテニュアが認められなかった場合は、基本的には更新不可能な1年間任期付きのアシスタント・プロフェッサー扱いとなり、その後は再び研究者としてテニュアトラックを求めて別の大学で職を探し再挑戦するのです。

 長男が書いているテニュア委員会への審査結果の内容を見せて貰いました。彼は候補者がテニュアにふさわしいという推薦状を書いていました。自分で書いた素稿を正確を期すために生成系のAI技術であるChatGPTを使ったというのです。自分が気がつかなかった語彙や表現のほかに、文章の正確性や一貫性、そして簡潔性などを示ししてくれるのがAIだ、というのです。文法はもちろん理路整然とした文章とするために生成系AI技術はとても参考になるというのです。

ChatGPTエンブレム

 長男は、ChatGPTが驚くほど詳細で、あたかも人間のような回答を生成することができると述べています。ChatGPTを学生への課題に使い、出力結果が優秀な生徒による回答と同レベルであることも確認しています。学術界では人間の生産性を上げることができるという声があり、大学によるとChatGPTのプロンプトエンジニア授業はすでに存在しています。研究論文の査読にもChatGPTが使われる可能性があるようです。ChatGPTは論文の冒頭や一部の節を書くことができるのです。

 今後はもっといえば、ChatGPTによって生成された査読に実在しない研究者も生まれるかもしれないというのです。ChatGPTは一見もっともらしい引用を含むコンテンツを生成できる可能性もあり、ChatGPTを共同著者として挙げていると言われています。このような懸念はChatGPTなどのAIに向けられています。

 私もある学会での2ページの発表論文についてChatGPTで抄録を作らせてみました。ChatGPTは抄録の要件である論文の目的、仮説、被験者、実験方法、そして実験結果を正確に記述していました。研究機関においては学位論文やレポートについては、生成系AIのみを使用して作成することを禁止すべきではあります。ですが今後は実際にはAIの利用を検知することは困難になるだろうと察します。その対策としては書面審査だけでなく、対面での口頭審査や筆記試験などを組み合わせ本人が作成したのか検証する必要がありそうです。

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