Last Updated on 2025年4月26日 by 成田滋
「世界の警察」は過去の話。アメリカはかつての豊かさと偉大さを取り戻そうと懸命です。1960年代のヴェトナム戦争やタリバン(Taliban)との「アフガニスタン戦争」(Afghanistan War)で相当に疲弊しました。NATO(North Atlantic Treaty Organization)でのアメリカの役割は次第に後退しつつあります。日米安保でも日本の負担が増加しようとしているのは、アメリカの影響です。
MAGA:Make America Great Again
ご存じ、「今一度アメリカを偉大な国に」というフレーズです。1980年の大統領選挙においてロナルド・レーガン(Ronald Reagan)使用したのが最初です。そして2016年の大統領選挙と2020年の大統領選挙、および2024年の大統領選挙においてトランプが使用したのはご存じの通りです。2016年大統領選挙の活動のために商標出願し、選挙運動の初期の頃に、この標語を載せた帽子をかぶることで広く知られるようにもなりました。この略語は単なる選挙スローガンを越え、広くトランプを支持する勢力や人々を「MAGA」と呼ぶこともあります。
MAGAについては、茶化すフレーズもあります。「Make America Great Britain again(アメリカを再びイギリスにしよう)」というフレーズです。イギリスの女優エリザベス・ハーレイ(Elizabeth Hurley)は、アメリカ合衆国がイギリス帝国の植民地だった歴史を踏まえて、トランプを揶揄したことです。こうした笑いや皮肉も広まり、トランプの評判は、良きにしろ悪しきにせよ一層高まるのです。
CEO: Chief Executive Officer
企業の「最高経営責任者」のことです。企業経営全体の経営責任を負う代表者で、経営理念や方針、事業戦略を策定し、会社全体の業務執行を統括する役割を持ちます。また、株主や顧客、金融機関など会社の利害関係者との関係を構築する役割も有する役員です。
最高経営責任者には、有名な人物がいます。電気自動車(EV)大手テスラ(TESLA)の最高経営責任者がイーロン・マスク(Elon Reeve Musk)です。昨年11月の大統領選挙キャンペーンにおいて個人寄付者として2番目に多くの資金を提供するなど、熱烈にトランプを応援し、今は政府効率化省(Department of Government Efficiency: DOGE)の事実上のトップとして活動しています。電子決済の先駆的企業PayPalの創業者の一人として成功を収め、その後電気自動車(テスラ)、宇宙開発(スペースX)、太陽光発電などのビジネスでも成功しています。2022年にはTwitter(現在のX)を買収します。
最高経営責任者で忘れられないのがアップル(Apple)の共同創業者の一人であり、同社のCEOを務めたスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)です。妥協を許さないカリスマ的変革者として知られました。Apple Ⅱなどによりパーソナルコンピュータの概念を変えたことで知られます。その後、iPodとiTunes及びiTunes Storeによって音楽業界に変革をもたらし、iPhoneおよびiPadを世に送り出した天才的な最高経営責任者でした。
FRB: Federal Reserve Board
アメリカでは日本銀行にあたる中央銀行は「連邦準備制度理事会」と呼ばれています。連邦準備制度の最高意思決定機関は7人の理事で、うち議長1人、副議長1人から構成されていて、通貨の発行や金融政策を通じて経済の安定を担う重要な機関です。
FRBの目標は最大雇用と物価安定を重視するのに対して、日銀の目標は物価の安定(2%物価上昇率)となっています。ここが違うところです。FRBは金利政策を通じた景気調整、金融システムの安定などの機能を持ちます。日銀は通貨の発行や金融機関への資金供給など幅広い業務を行っています。4月25日にFRBは、各地域の企業への聞き取りなどをもとに最新の経済報告を公表し、トランプ政権の関税措置の影響で先行きに不透明感が広がっているとし、間接的にトランプ関税政策を批判しています。そして、国内の複数の地区で景気の見通しが大幅に悪化したと指摘しました。他方、日銀は政府を批判することはないのに較べ、FRBの権限や影響力が強いことが分かります。
