北海道大学(北大)男声合唱団のかつての同僚から、どのようにして北大の中心に小川が復活したかの便りを貰いました。北大正門から道なりに歩きますと「中央ローン」という一面芝生の広場にでます。まわりには多くの楡の木(エルム)がそびえています。その中心に流れるのが「サクシュコトニ川」です。呼び名のもとはアイヌ語だったようです。エコ・キャンパス創成の一環として、大学と札幌市が水辺の復活事業を行ったのです。キャンパスに安らぎをもたらしたのが、「サクシュコトニ川」です。
「日本で最も広い大学キャンパス」を挙げるなら、一般的には 北大が一番とされます。キャンパスに川を持つ大学はそう多くありません。北大は幸いなことに、その数少ない例の一つです。川がキャンパスを流れるには水がなければなりません。北大のキャンパスはどこも楡の大木で囲まれています。枝を大きく広げる雄大な樹形が特徴です。硬くて粘りがあり、家具、建材などに使われ耐朽性が強く水に強い特徴を持っています。北海道のシンボルツリーとなっています。木といえば観光客の楽しみはキャンパスのはずれにあるポプラ並木を散策することです。
札幌の中心街にある北海道庁の隣の北大附属植物園のあたりに湧き出ていた池 (メム)が「サクシュコトニ川」となります。そこから北大構内をゆったりと流れて農場の北端から琴似発寒川に出ていたといわれます。昭和30年頃から急速に湧水量が減り、その後はポンプ揚水の地下水が細々と循環しているだけの川もどきになっていたようです。そこで北大のキヤンパスに生命の活力を与えるべく、「水と緑のネットワーク」というルネサンス・プロブエクト事業によって「サクシュコトニ川」に新しい水が補給されて流れが再生したようです。
2月の「さっぽろ雪まつり」が終わり雪解けが進む3月にはふきのとうや福寿草が、5月下旬、街はライラック(lilac)に彩られます。ライラックは別称としてリラ(リラの花)とも呼ばれています。北大構内ではクロユリの群生地が見頃を迎えます。秋は赤柏や楓の紅葉、銀杏の黄金色が美しい北大構内の散策などをお勧めします。市内の川沿いの遊歩道のないところにはケモノ道が今も残っているようです。
北大は広大で緑豊かなキャンパスが魅力で、「キャンパス自体が観光地」と言われるほど見どころが多いです。旧理学部本館にある総合博物館は、北大の歴史、自然史、アイヌ文化、理系研究の展示などで充実しています。建物自体も歴史的価値が高く見ごたえがあります。農学部の牛舎エリアは明治期の牧場の面影を残す場所です。木造建築が美しく「北大らしい」素朴な北海道らしい夏景色が広がります。以下は散策のお薦めコースです。
正門 → 中央ローン →クラーク像 → 総合博物館 → 農学部 → ポプラ並木 → 附属植物園(別会場)


