ニュースでしばしば登場する日本語化したような英語の用語を取り上げています。なんとなく理解しているような錯覚しがちな単語ですが、調べてみるとその意味と使われ方はなかなか深いことが分かります。そうした単語は折々に短い解説をつけるべきだと思います。特にオールドメディアといわれるテレビや新聞はそうです。
2025年1月に八潮市で発生した大規模道路陥没事故で、硫化水素による劣化が原因とされ、トラックが転落し運転手が亡くなり、周辺住民に下水臭や生活への影響が出ました。全面的な復旧には「5~7年を要する」とのことです。このニュースでも復旧という事に関してレジリアンス(resilience)という単語がでていました。レジリアンスの基本的な意味は一言でいうと困難やショックを受けても、立ち直る力とか回復力のことです。もう少し噛み砕くと何か悪いことが起きるとかダメージは受けるとしでも、元に戻る/持ちこたえる/立て直す力です。 しなやかさとか物理的な「弾力」が語源といわれます。
ニュースでの使われ方として政治・社会では災害やテロとか感染症が起きても社会が崩れずに機能し続ける力のことがあります。社会インフラのレジリアンスを高めることによって、 災害が起きても電気・水・交通が止まらないようにする防災上のレジリアンスもあります。 地震・台風・洪水のあとにすぐ復旧できる力です。単なる「強さ」ではなく、 壊れてもすぐ直るという発想があります。
経済や企業活動でのレジリアンスもあります。不況やサプライチェーンの混乱が起きても 事業を続けられる力のことです。個人の心理状態を指す場合、 失敗やストレスを受けてもメンタルが折れにくい状態を指すのがレジリアンスです。心理学においては、ストレスや災害に対処する能力を表す用語です。心理学では、「レジリエンス因子」という仮説があり「自尊感情」とか「安定した愛着」、さらに「ユーモアのセンス」、「楽観主義」といった感情調整の重要さを指摘する学者もいます。
ただしレジリアンスの理解での注意点としては、「我慢強い」や「無敵」ということではないことです。一度はきちんとダメージを受ける前提の言葉となります。まとめると、レジリアンスとは壊れない強さではなく、立ち直る強さのことを指すといわれます。また、将来のネガティブな出来事に対する抵抗力を示すためにも用いられます。レジリエンスのこの心理学的意味は、しばしば「リスク要因」と対比されます。
Wikipediaによりますと生態学においては、レジリエンスは安定性の異なる側面を強調する定義方法です。システムが擾乱を受けた後、単一の定常状態または周期的状態に戻る速度です。このレジリエンスの定義は、システムの行動がこの定常状態を含む安定領域内に留まることを前提としています。公衆衛生上の緊急事態におけるレジリエンスもあります。「個人またはシステムが継続的かつ統合的に経験するプロセスであり、急性または持続的な危機への成功した関与から生まれ、持続、成長、変革を可能にする軌道をもたらすことです。」少々難しい定義ですが、、レジリエンスを「復元力」と表現するのが最も適当な日本語訳となりそうです。

