英語がすっかり日本語のようになっている用語は沢山あります。日本語にするとわかりにくいとか、耳慣れていないという少々情けない姿もあります。日本語の乱れとでもいえるかもしれません。英語ながら耳慣れている用語が「インセンティブ(Incentive)」であり「モチベーション」です。
インセンティブは「刺激」、「動機」、「誘因」、「報奨」などを意味します。人の行動を促すための「外的な働きかけ」や褒美を指します。主に商業活動や日常生活において、目標を達成するときその成果に対する金銭的な報奨金、消費者にとっては、購買意欲を高める割引特典などを指して使われます。インセンティブは経済活動における基礎の一つであり、「経済学とはインセンティブの学問である」とも言われる所以です。経済学では、人々の具体的行動にはそれを促す誘因があり、誘因はその人物が直面するルールや慣行に応じてもたらされると考えるのです。
インセンティブの具体的なです。金銭的インセンティブとしての歩合制や特別ボーナス、販売報奨金といったものです。コミッション(commission)とも呼ばれます。非金銭的インセンティブもあります。とも呼ばれます。それは表彰制度、賞状、研修の機会、昇進や昇格、特別休暇などです。消費者へのインセンティブもあります。それはクーポン、割引、ポイント付与などがあります。ただし、ある個人が自動車保険に加入したとき、事故を避けようとするインセンティブが減少することも想定されます。いわゆるモラルハザードが働くかもしれないのです。また、誰もが所得が平等になるとすれば、一般にはインセンティブを減少させ、生産性が下がり経済全体が停滞することにもなります。 その例は、20世紀における社会主義の失敗で、所有権とインセンティブが欠如していたためだといわれます。
インセンティブに似た用語に「モチベーション:動機づけ(Motivation/Stimulus)」があります。この用語は、心理学における行動の源泉として使われます。動機付は行動を促進するためのきっかけという意味です。モチベーションは「自発的(内側)に湧き上がるやる気や動機」のことです。 モチベーションには二つの側面があります。内発的動機づけと外発的動機づけです。
内発的動機づけはわかりやすくいうと「その行動自体が楽しい・面白い・やりたい」と感じることによって生じる動機づけで、好奇心、興味・関心、達成感といった自己成長したい気持ち、などが原動力になります。他方、外発的動機づけとは、「報酬や罰など、外から与えられる結果」によって生じる動機づけです。
内発的動機づけを中心的に研究してきた代表的な研究者にエドワード・デシ(Edward L. Deci)とリチャード・ライアン(Richard M. Ryan)がいます。彼らは自己決定理論(Self-Determination Theory:SDT)を提唱し、内発的動機づけを次のように説明しています。すなわち、人が内発的に動機づけられるためには、自律性(Autonomy)、有能感(Competence)、関係性(Relatedness)という3つの基本的心理欲求が満たされる必要があるとしました。自律性とは自分で選んで行動している感覚であり、有能感とは「できる」「上達している」と感じられることであり、関係性とは他者とつながっている、受け入れられている感覚であるとするのです。
子どもの内発的動機づけをどう強めたり弱めたりするかの研究があります。「評価されすぎると、学ぶ楽しさが失われる」ことがあります。例として、外的報酬を与え過ぎると、その後の内発的動機づけが下がる場合があることです。褒美とか褒め言葉は、子どもによっては使い分に留意する必要があるのです。


