ザイム真理教というカルト

「ザイム真理教」とは「経済成長よりも、財政健全化という帳簿上の収支合わせを神聖視し、そのために増税を行い続ける主義」に対する財務省への強烈な皮肉を込めた呼び名です。この言葉は、昨今の物価高や実質賃金の低下の中で、「なぜ政府は減税をして国民を助けないのか?」という不満を持つ人々の間で強く支持されています。

「真理教」という強い言葉で呼ばれるには、単なる政策論争ではないことが分かります。財務官僚が有力な政治家やメディア関係者に対して頻繁に「ご説明」と称するレクチャーを行い、「日本は1000兆円以上の借金を抱えていて財政が破綻します」「国の借金○○○兆円、国民一人当たり800万円の借金」なととマスコミにも喧伝し危機感を植え付けていると言われるのです。いわば洗脳といわれる行為、これがレクチャーです。財政が破綻するので増税するというの財務省のロジックです。財務省は、分が悪くなると「少子高齢化が進み、年金、医療などの社会保障の財源が足りなくなるので消費増税が必要」という論点に軸足を移すのです。これに反論するためには、政治家はもっと勉強しなければならないはずです。

政府が必要な支出はしっかり行い、景気を良くすることを唱道する政治家や学者は冷遇され、財務省の「教義」に従う者だけが出世したり、メディアで重用されたりする構造があります。結果として積極財政という異論を排除することに傾倒するのです。「自国通貨建て国債の日本は財政破綻しない」という経済学的事実ー現代貨幣理論(Modern Money Theory: MMT)を無視し、頑なに緊縮財政を続ける姿勢が、論理を超越した「教理や信条」に見えるために「真理教」と呼ばれるのです。

「ザイム真理教」という用語を使ったのは経済アナリストで、2025年1月に亡くなった森永卓郎氏です。その著書『ザイム真理教』を通じて、日本の財務省が長年にわたり行ってきたとされる「財政破綻の危機を煽る情報操作」と、それによって日本経済がデフレから脱却できない現状を厳しく批判したのです。財務省の主張である「国の借金(国債)が巨額であり、このままでは日本の財政は破綻するというデマの流布に対して森永氏は、「日本は財政破綻しない」と看破します。

ザイム真理教

森永氏の反論は、政府の国債は自国通貨建てであり、通貨発行権を持つ国が資金繰りで破綻することはないということです。これは世界の常識となっています。日本は世界最大の対外純資産国であり、国全体として見れば「金持ち」の状態です。財務省は、政府が保有する株や土地、他国への貸付金などの資産を無視し、負債ばかりを強調することで、意図的に危機を煽っているとしています。資産と負債、つまり純資産(資産ー負債)というの貸借対照表(balanced sheet)を軽視しているというのです。

次に、森永氏は、財務省が消費税の増税を最優先事項として推進してきたことを批判しています。「消費増税」といういわば絶対主義への固執に対して批判するのです。財務省の主張は、 少子高齢化に伴う社会保障費を賄うためには、景気に左右されにくい安定財源である消費税の引き上げが不可欠であるというものです。しかし、「消費税は一般財源であり、社会保障目的税にしない、社会保障は保険料中心」というのが世界の趨勢なのです。

消費増税は、デフレ下においては経済活動を冷やし、景気を悪化させる最大の原因となります。税収を増やす方法は増税だけでなく、政府が積極的な財政出動を行い、経済成長を促して税収のパイを大きくする、すなわち税率を変えなくても税収が増えることが本来の道であるとしています。消費税増税は、大企業が優遇される「逆進性」、つまり所得の低い人ほど負担率が高くなる税制であり、格差を拡大させると指摘しています。森永氏は、財務省が推奨する政府の支出を絞る財政健全化=緊縮財政が、日本経済の最大の病巣であるデフレを長期化させていると主張しています。他方、財務省は、 財政赤字削減のため、公共事業費などを削減し、無駄遣いをなくすべきであると主張します。ですが公共事業費で無駄なものとは一体なんでしょうか。

終わりに「ザイム真理教」は「その教義が、単なる政策論ではなく、「教団の活動」として強力に実行されているという点です。信徒への「洗脳」、すなわち財務官僚による「レクチャー」が、政治家やメディアに対して行われ、財政破綻の恐怖が刷り込まれているのです。まるで「呪い」をかけるオカルトのようにきこえます。財務省に都合の良い御用学者をメディアに登場させ、オールドメディアで消費増税や緊縮財政の必要性を国民に説かせている事実もあります。さらに財務省の意に沿わないリフレ派や現代貨幣理論に沿った経済学説を「異端」と指摘し、特に報道される機会が奪われているのです。いわば情報統制を行っているともいえます。なお、現代貨幣理論とは、通貨発行権を持つ国は、自国通貨建ての債務であれば、財政破綻することなくいくらでも返済できるという経済理論です。リフレ派とは、デフレ脱却と景気回復のため、日本銀行による積極的な金融緩和などを通じて緩やかな物価上昇(リフレーション)を目指すべきだと主張する経済学者やエコノミストのグループです。

結論として、森永氏は財務省が自らの権威と予算を維持するために、国民に「未来への不安」を煽り、経済成長の芽を摘み続けていると強く訴えています。「社会保障のための消費増税」という理論的に間違ったことをごまかして、強引に増税を推し進めようとすると国民の反感と怒りを見放されて支持を失うのです。

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