私が知っている英語の略語 その八 人権と社会と働き方

Last Updated on 2025年4月30日 by 成田滋

近年、多様性が重視されるようになった理由の一つは、働き方が多様化していることです。コロナ禍をきっかけにリモートワークが一般化した他、介護・育児と両立する人の増加に伴う時短勤務の導入、男性の育児休暇の推奨といった動きがあります。働き方の選択肢は、従来に比べて増加しました。旧来の慣習や既成概念にとらわれない改革が求められています。こうした中で優秀な人材を確保するには、働き方や価値観の多様化を受け入れ、人々が活躍できる寛容性のある環境作りが欠かせなくなりました。

DEI: Diversity , Equity, Inclusion

 Diversity (多様性), Equity (公平性), Inclusion (包摂性) の頭文字をとった言葉で、組織や社会において多様性を尊重し、公平な機会を提供し、誰もが安心して活躍できる環境を整備することを指します。

 「多様性」とは、組織的な職場の中に、アイデンティティ(identity)や政治などの意味でさまざまな種類の人が存在することを意味します。アイデンティティとしては、ジェンダー(gender)、民族性、性的指向、障害、年齢、文化、社会階級、宗教、意見などが含まれます。

 「公平性」とは、公平な報酬や実質的な平等など、公平性と正義の概念を意味します。具体的には、公平性には通常、社会的格差や資源の配分へ焦点を当てることが含まれ、「歴史的に不利な立場にあった集団に意思決定の権限を与えること」や、「その人固有の状況を考慮して、最終的な結果が平等になるようにするため、個人に応じて扱いを調整すること」も含まれます。

「包括性」とは、帰属意識と一体感という意味で「すべての従業員が自分の声を聞いてもらえていると感じる」経験を生み出す組織文化を構築することを意味します。近年は、DEIにB (Belonging)(帰属意識)の頭文字をつけて、「DEIB」という略語も生まれています。組織に属する人が「自分は組織の一員として尊重されている」と感じられることを大切にしようとする機運が高まっています。

ESG: Environment、Social、Governance

 ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス:企業統治)の頭文字をとった略語です。この3ßつの視点から企業の価値を評価して投資する手法を ESG 投資といいます。ESG は、人権の尊重、労働環境の整備、地域社会との関係づくりなど、企業が社会の中で果たしている責任を評価します。多様な人材の違いを受け入れ、それぞれが活躍できる公平な環境を作る DEI は、投資家からの評価を高める上で重要な取り組みとなりつつあります。

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