貨幣論 その1 現金よ さらば!

現在、経済や財政において「貨幣のあり方が変わっている」と言われる背景には、いくつかの重要な要素があります。これらの変化は、特にデジタル化や金融技術(フィンテック:FinTech)、そして中央銀行デジタル通貨(Central Bank Digital Currency:CBDC)などの進展に関連しているようです。フィンテックとは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、IT技術を活用した革新的な金融サービスや事業領域のことを意味します。具体的に言うと、以下のような貨幣のあり方の進展が挙げられます。

1 デジタル通貨の台頭
 現金や物理的な通貨に代わって、暗号資産(仮想通貨)(crypto-asset)や中央銀行が発行するデジタル通貨が注目されています。例えば、暗号資産のビットコイン(Bitcoin)やイーサリアム(Ethereum)は、従来の貨幣システムとは異なる分散型の仕組みで運営されています。これらは銀行を通さずに直接取引ができるため、従来の金融システムに対する挑戦として位置づけられています。また、中央銀行が発行するデジタル通貨も進行中です。これは国家が管理するデジタル通貨で、現金に代わる形で流通する可能性があります。中国ではすでに「デジタル元」の試験運用が行われています。

    日本銀行のサイトによれば、「暗号資産は、国家やその中央銀行によって発行された法定通貨ではないこと、また、裏付け資産を持っていないことなどから、利用者の需給関係などのさまざまな要因によって、暗号資産の価格が大きく変動する傾向にある点には注意が必要」と喚起されています。暗号資産交換業者は金融庁・財務局への登録が必要となっています。

    NHKサイトから引用

    2 金融政策の変化
     近年、各国の中央銀行は、経済成長を支えるために、利下げや量的緩和(quantitative easing: QE)などの政策を採用しています。これにより、金利が低水準に保たれ、貨幣の供給が増加しています。同時に低金利環境が長期化する中で、伝統的な貨幣政策が限界を迎えつつあるという議論もあります。これに対応するために、新しい金融政策、例えば、直接給付金の支給や特定分野への財政支出の増加が決定され、従来の「通貨の供給量を増やす」という方法に頼らないアプローチが増えてきています。

    3 グローバルな通貨の変動と多国籍取引
     グローバル化が進む中で、特にインターネットを通じた取引やクロスボーダーの商取引が増えており、複数の通貨が同時に流通する状況が広がっています。国際的な支払いに仮想通貨やデジタル通貨が使用されることが増え、各国の通貨政策の影響を受けない形での取引が可能となりつつあります。

     今や世界にある暗号資産の総数は年々増えていく傾向にあり、世界で1千種類以上あるとされています。このように、貨幣のあり方は単に「お金」の形態だけでなく、その流通方法、管理方法、使い方においても大きな変革を迎えており、特にデジタル技術の進化がその中心にあるとされています。これにより、従来の銀行システムや国家が管理する貨幣システムに対する挑戦が高まってきているのです。この変化がさらに進むと貨幣の本質や役割についても再定義される可能性があり、金融業界や政府の政策に大きな影響を及ぼすといわれます。

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