私が知っている英語の略語 その六 「持続可能な開発目標」

Last Updated on 2025年4月28日 by 成田滋

最近は猫も杓子も「持続可能な開発目標」というフレーズを使っています。何故かといいますと、オールドメディアや大学などが、盛んにこの言葉を使い、新しいことをやろうとして補助金や予算を獲得しようとしていることです。つまり、大学や企業がこの目標をマーケティング戦略として利用していることです。大学はこのフレーズを中心にカリキュラムを組み、教官を採用するという按配です。「グローバル化」とか多様性を謳って学生を集めているのです。持続可能な開発目標の時代に乗り遅れるな、といっているのです。

SDGs:Sustainable Development Goals

 2015年9月25日に国連総会で採択されたのが、持続可能な開発のための17の国際目標です。向こう15年間の新たな行動計画『我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ』(Transforming our world: the 2030 Agenda for Sustainable Development)が採択されたのです。国連はさらに2030年までに貧困や飢餓をなくすほか、ジェンダーの平等や気候変動対策を進めることなどを目標として掲げています。

 その後、国連総会ではSDGsへの取り組みを再確認する内容を含む国際デーの創設についての決議が賛成多数で採択されましたが、アメリカやイスラエル(Israel )、アルゼンチン(Argentina)の3か国が反対しました。つまりアメリカは、2030年までの持続可能な開発目標を拒否する意向を示しています。目標達成がさらに困難になることが予想されます。

 アメリカのSDGsに対する姿勢は「アメリカの人々の権利や利益に反する」とか「トランプ大統領はSDGsに浸透する「ジェンダー」(gender)や「気候のイデオロギー」に関して、明確な軌道修正を行った」ということに表れていますSDGsの問題点に関しては次のことが指摘されています。ジェンダーとは、生物学的な性(sex)とは異なる多義的な概念であり、性別に関する社会的規範と性差を指す言葉です。

1 目標の規模が大きく、実現が難しい:
「飢餓をゼロに」「すべての人に健康と福祉を」など、目標が壮大で具体的な行動に落とし込みにくいことです。.
2 数値指標の妥当性:
具体的な数値目標が設定されている一方で、その数値が妥当かどうか疑問視されています。 例えば、貧困の指標に1日1.25ドル未満で生活する人々が設定されていますが、わずかにそれを超える人々は支援の対象外になる可能性があります。
3 目標達成の定義が曖昧:
目標達成の定義が人や地域によって異なる場合、ゴール設定や取り組み方法も変わってくるため、目標達成がイメージしにくい場合が生まれそうです。
4 SDGsウォッシュ(表面的な取り組み):
企業や政府がSDGsをマーケティングやイメージ戦略として利用していると感じる人がいるため、その真意や誠実さを疑う声があります。
5 先進国のイニシアチブを期待するような取り組み:
SDGsの取り組みが先進国に偏っている傾向があり、発展途上国では対応が難しいものも少なくありません。

 4番目の「SDGsウォッシュ」とは、「whitewash」(ごまかす、うわべを取り繕う)」に由来し、粉飾するなどの意味を持つ造語です。SDGsへの貢献を表明しているにもかかわらず、実態がともなっていない状況を指す言葉です。

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