Last Updated on 2025年5月15日 by 成田滋
これから数回に渡り、私のドイツ語との出会い、エピソードを記していきます。1971年に北海道大学教養部に入り、第二外国語としてドイツ語を選びました。その理由は確固たる信念ではなく、なんとなくドイツ語を知りたいというだけでした。教科を担当したのは井手という教授とオーピッツというドイツ人講師でした。
しばらくして私は男声合唱団に入り、ドイツの作曲家の作品やドイツ民謡の合唱曲を歌うことになりました。そのときドイツ語を学んで良かったと思いました。ドイツ語に堅苦しい印象や、少々いかついイメージを抱いていたのですが、その印象は吹っ飛びました。ドイツ語で大きな声で話しすると、怒っているように聞こえたりはしますが、、、、、、、。
合唱曲のことですが、音名とか音階なども、アルファベットのアー(a)、ベー(b)、ツェー(c).を使うのです。中心となる主音をハ(C・ド)とした長音階で作られている楽曲は『ハ長調』(ツェーヅア: c dur)となります。 ハの短音階で作られている楽曲は『ハ短調』(ツェーモル: c moll)となります。長音階は長調とも呼ばれ明るい感じ、短音階は短調で暗い感じがします。なぜか、練習では英語ではなくドイツ語が飛び交うのです。
合唱の練習が終わると、必ずドイツ民謡の「Muss i denn」ームシデンーという曲を歌います。ある若者が仕事の修行のために、町から町へと辿るのですが、ある娘と恋仲になり、彼女にさよならと別れを告げながら、また君のところに戻ってくるからね、という内容の恋歌です。
Muss i denn, muss i denn
zum Städtele hinaus, Städtele hinaus,
Und du, mein Schatz, bleibst hier?
「僕は、どうしてもどうしても、この町を去らねばならないが、いとしい君には、ここにいてほしい。
もともとは、ドイツ南西部にあるシュヴァーベン地方のシュヴァーベン語(Schwäbisch)による民謡で、歌詞は兵士が愛する女性を後にして出征して、また故郷へ戻ってくる時には結婚しようという内容といわれます。職人修行に出るため故郷を離れる若者が、恋人へ別れを告げる内容だという別説もあります。ドイツでは、軍艦が港を離れて航海に出るときや兵士たちの別れの際にも使われる歌です。いわば定番の別れ歌だそうです。合唱団の練習は週一。練習が終わると「Muss i denn」を歌い、そして一週間後にまた練習のために団員は部室に集まってくるのです。
