アメリカ合衆国建国と植民地時代の歴史 その37 インディアン市民権法と新宗教の勃興

Last Updated on 2025年2月21日 by 成田滋

南北戦争後の急激な資本主義の発展のなかで、牧畜業者、鉱山業者、森林業者、鉄道業者、土地投機業者、そして農民は、部族の保留地の土地と資源に目をつけて保留地そのものを解体しようとしていました。他方、人道主義的な改革家は、インディアン部族の組織と部族文化を薄め、彼らを農民や市民として文明化し、白人市民社会に同化させることを目指しました。この経済的欲求と文明化のイデオロギーが合致して、1887年に一般土地割り当てのドーズ法(Dawes Severalty Act)が制定されます。それは、保留地の一部を先住民個人に単純所有地として割り当て、余剰地を耕作者に解放することと規定したものでした。同法によって先住民に割り当てられた総面積の数倍もの土地が白人に割り当てられました。軍事力による土地収奪から、法により土地奪取へと転換するものでした。

 その後の修正立法措置で割り当て地そのものにも賃貸制が導入されて、保留地の土地は急速に部族の手から白人の手に移りました。その結果、1887年に1億5800万エーカーであった保留地は1900年には7780万エーカーに、1934年には4900万エーカーに減少しました。1924年のインディアン市民権法(Indian Citizenship Act) によって、先住民に合衆国の市民権が与えられますが、白人市民と完全に平等になったわけではありませんでした。土地と文化を奪われつつあった西部の諸部族は、救済を宗教にもとめ、ゴーストダンス(Ghost Dance)やサンダンス(Sun Dance)、ペヨーテ信仰(Peyotism)が流行していきます。

Ghost Dance (Library of Congress)

 ゴーストダンスとは、先住民族の間におこった千年王国論的な宗教運動で、1870年にネバダ州の先住民パイユート(Paiute)のウォボカ(Wovoka)という予言者によって始められたものです。サンダンスとは、自然復活と和平祈願の最大の儀式で「聖なるパイプ」と煙草が用いられます。先住民は、煙草を吹かすことで「大いなる神秘」と会話するといわれます。ペヨーテ信仰は、伝統的なアメリカ先住民の信仰とキリスト教の混交に基づくもので、今もアメリカ、カナダ、メキシコにて最も広く根付いている土着の宗教といわれます。

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