ヨーロッパの小国の旅 その十三 ラトビアの歌と踊り

Last Updated on 2020年3月16日 by 成田滋

バルト海の真珠”と称されるのが首都リガ(Riga)の旧市街です。世界遺産にも登録されています。一度訪ねたいものです。リガには12世紀後半ごろからバルトドイツ商人(Baltic Germans)が移住し、1282年にはハンザ同盟に加盟して貿易拠点として急速に発展を遂げます。その影響を受けてでしょうか、写真で見ますと旧市街には北ドイツ風のゴシック様式(Gothic)やロマネスク様式(Romanesque)の優雅な街並みが広がっています。厚い壁と小さな窓、細い柱や尖頭と円形のアーチ、石造天井、壁の彫刻などがこうした様式の特徴です。

バルトドイツ商人の祖先はドイツではありませんでした。やがて定着していくにつれてドイツの文化を取り入れ、上流社会を形成していきます。そしてラトビアとドイツの文化が融合していきます。20世紀になるとドイツ、アメリカ、カナダなどへ移住していく者が増えます。

しかし、土着のラトビア人は融合ではなく農民独自の文化を維持しながらキリスト教の伝統に結びついていきます。その代表といえる行事は、「ヤニ」(Jani) と呼ばれる夏至の祝いです。この祭りは聖ヨハネ(St. John)の洗礼を祝うものでもあります。自然崇拝や多神教の信仰色もあります。

ラトビアの伝統的な歌や踊りは何百年も受け継がれてきました。百二十万以上の伝承物語があり、三万以上の民族音楽が残されています。ラトビアの歌と踊りの祭典(Latvian Song and Dance Festival)は、1873年以来続いています。5年毎に開かれ30,000以上の人が集うとされます。歌と踊りのレパートリーは古典的で簡素化された教会様式アカペラ(A cappella)から現代的なものに及んでいます。

成田滋