Last Updated on 2025年5月12日 by 成田滋
合衆国の公的医療保険制度の3回目です。貧富の差が激しいアメリカ市民の姿が医療保険の実態から理解できる話題です、1970年代に始まった健康維持機構との連携は、1997年にビル・クリントン大統領(Bill Clinton) の下でメディケア・パートCとして正式に認められ拡大されます。 2003年、ジョージ・ブッシュ大統領(George W. Bush) の政権下で、ほぼすべての自己投与処方薬をカバーするメディケア・プログラムがメディケアパートDとして可決され、2006年に発効します。
パートAの入院および高度看護の保険は、主に雇用主と労働者がそれぞれ1.45%を負担し、合計2.9%の給与税収入によって賄われます。1993年12月までは、社会保障給与税と同様に、メディケア税が年間に課される給与額の上限が法律で定められていました。1994年1月以降、この給与額の上限は撤廃されました。自営業者は、従業員と雇用主の両方であるため、自営業の純収入にかかる2.9%の税金を全額計算する必要がありますが、所得税の計算において、その半分を所得から控除することができます。2013年以降、個人の場合年収20万ドル、夫婦合算申告の場合は25万ドルを超える稼得所得に対するパートA税率は3.8%に引き上げられました。これは、医療費負担適正化法(Affordable Care Act)で義務付けられているメディケア非加入者への補助金費用の一部を賄うためです。
2022年のメディケア支出は9,000億ドルを超え、アメリカの国内総生産(GDP)の約4%、連邦政府支出全体の15%を超えています。信託基金が2つあり、それぞれ異なる収入源があるため、信託委員会はメディケア支出を連邦予算ではなくGDP比で分析しています。ベビーブーマー世代のメディケア加入は高齢化が進み、ベビーブーマー世代の最後の世代が65歳になる2030年までに加入者数は8,000万人を超えると予測されています。さらに、加入者一人当たりの給与税納税者数は時の経過とともに減少し、国内の医療費全体が上昇しているという事実は、プログラムにとって大きな財政的課題を突きつけています。メディケア支出は、2022年のGDPの約4%から2046年にはほぼ6%に増加すると予測されています。ベビーブーマー世代は寿命が延びると予測されており、将来のメディケア支出は増加すると予想されています。
これらの財政的課題に対応するため、議会は2010年の医療保険改革法(Patient Protection and Affordable Care Act:PPACA)と2015年のメディケアアクセス、無料または低コストの医療保険を提供する公的児童医療保険プログラム(Children’s Health Insurance Program: CHIP)を提出します。こうして医療提供者、主に急性期病院と熟練看護施設への将来の支払いを大幅に削減し、メディケア支出をさらに安定化させるため施策が講じられます。
メディケア信託基金の医療費と支出の動向予測は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック、今世紀に入ってメディケア・パートCへの加入が圧倒的に増加していること、そしてメディケイドとメディケアの両方の受給資格を持つ受給者の増加など、多くの要因によって医療保険制度は複雑化しています。
