ハングルと私 その4 ユージン君

ウィスコンシン大学の家族寮にいた頃です。寮のすぐ向かいにソウルから来ていた留学生家族と親しくなりました。この院生は政府から派遣された優秀な人でした。政府の奨学資金をもらうのを大変誇りにしている様子でした。こうした留学生は学位をとると、国に帰って「サイエンティストー科学者」として遇される恵まれた人々です。それに引き替え、わたしのほうは不如意な院生でアルバイトに精を出す有様でした。

この家族に一人の息子がいまして、その名を「ユージン」といいました。英語で書くとEugeneとなります。時々見かける名前です。この家族との付き合いがやがて他の韓国人留学生とつきあうきっかけとなります。キャンパスには中国本土からきた留学生と同様に、多くの韓国人が学んでいました。韓国人の新婚カップルも宿舎の二階に住んでいました。こちらも同じく政府派遣の「エリート」でした。このカップルに招待されて焼き肉をご馳走になりました。「プルゴギ」(불고기)です。ちなみにコギとは肉の意味で、牛肉はソコギ(소고기)、豚肉はトエジゴキ(돼지고기)と発音します。

夕食の後に、韓国の結婚式の写真を見ながら韓国の習慣を教えてくれました。このカップルも大変裕福な家庭で育ったようで、式の服装や贈り物の豪華さに驚きました。相手を選ぶときは、家系、姓などを詳しく調べて、風水師とも相談して結婚するそうです。祖先を大事にし、男尊女卑のような習慣も残っていること、ヤンバン(양반)という特権的な国家公務員となる人々がいること、支配階級の人々です。なによりも儒教の精神が社会を包むことを留学生から教えてもらいました。愉快な付き合いをさせていただきました。

양반 ヤンバン