素人のラテン語 その八  ラテン音楽とクラーヴェ

数回前のブログで、ラテン音楽には大まかにメスティーソ系(Mestizo)とムラート系(Mulatto)の音楽があることを述べました。この話題で書き残したことや付け加えたいことがあります。ラテン語が音楽にまで影響を及ぼしたとはこれいかに、ということです。

メスティーソ系とムラート系とも、雑種な文化から生まれ、根強い生命力と大衆性を備えています。ラテン・アメリカには、ヨーロッパのような独自のエリート文化は存在しないと云われます。ラテン音楽は文化の多様性によってヨーロッパやアジアにも浸透し、アングロ・アメリカのムラート音楽といわれるジャズ(Jazz)やロック(Rock)などのポピュラー音楽の主流を占めるようになります。ルンバ (Rumba)、マンボ (Mambo)、サンバ(Samba)、メレンゲ(Meringue)、チャチャチャ(Cha cha)、レゲエ(Reggae)、カプリ(Capri)、タンゴ(Tango)などはムラート系の音楽です。

サルサ (Salsa)は、カリブ海のキューバやプエルトリコ発祥のダンス音楽に、ジャズ、ソウル、ロックなどの要素が融合したラテン音楽の一つです。1970年頃までにニューヨークで確立され、その後、北米、中南米、ヨーロッパ、日本など世界中に広まります。中南米、北米では一般的なラテン移民の庶民のダンスとして溶け込んでいます。

南米の情熱あふれるリズムの基本となるのは、ラテン音楽特有の「クラーヴェ(Kurave)」という単位です。1クラーヴェとは、8拍の音楽に6ステップを合わせて踊ります。クラーヴェとはスペイン語で「基本」とか「鍵」と言う意味だそうです。

昔、ペレス・プラド(Perez Prado)という楽団がありました。プラドはキューバのバンドリーダーでマンボ王と呼ばれていました。ルンバにジャズの要素を取り入れた新しいリズムがマンボといわれます。ムラート音楽の系統を継いでいたようです。

日本の代表的なサルサのアーティストが「オルケスタ・デ・ラ・ルス」という楽団です。歌手がクラーヴェのリズムにのり、ベースやピアノが加わりコンガ、ボンゴなどのパーカッションやトランペットなどで構成されています。