英語あれこれ その16 Southern American English

1978年、アメリカは南部ジョージア州(Georgia) のステイトバロ(Stateboro)という小さな街に家族と出向いた。国際ロータリークラブから奨学金を頂戴し、小さな州立の単科大学で2か月の集中的な英語研修を受けるためであった。ウィスコンシン大学での研究に備えてである。ジョージア州を含む近隣はアメリカ深南部(Deep South)と呼ばれるところだ。

そうこうするうちに、周りの人々の発音に独特な響きがあることに気がついた。一度留学生と一緒に地元のたばこ市場を見学に出かけた。セリをやっていたのだが、しゃべっているかけ声の意味が全く分からない。それが南部英語(Southern American English)の訛りであることを知った。

丁度、ジェイムス・カーター(James E. Carter)が第39代大統領に就任した翌年であった。テレビも新聞雑誌もカーター大統領のことをいろいろと報じていた。彼の演説だがなんとなく単語を引っ張るような独特のアクセントなのである。その発音を「drawl」と呼ぶことを知った。Drawlは和訳しにくい単語だ。南部訛りとでもしておく。

Drawlとは、鼻にかかり、ゆっくり、少々重々しく単語を引っ張るような特徴なのである。しかも、なんとなく気だるく、気が抜けたような感じでもある。「鈍くてなまくらな調子だ」と揶揄する記事を読んだことがある。

こうした南部訛りの英語は、もともと17世紀から18世紀にかけてイギリスからの移民が持ち込んだものといわれる。アイルランド(Irland)の北東部に位置するアルスター(Ulster)地方とかスコットランド(Scotland)の南部から移住してきた人々の訛りだといわれる。大恐慌後や第二次大戦後、アメリカ大陸の南部にこうした移民が定住し、drawlも広まった。

南部訛りの英語は、聞き馴れれば暖かい響きがある。張りのある東海岸の発音と違い、心地よさが感じられる。たった2か月であったが、南部のもてなし”Southern Hospitality”も家族と十分楽しむことができた。

Southern-speech1
39_james-earl-carterMr. James E.  Carter

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