親しい知人で大先輩、Dr. Robert Jacob医師の家系はアシュケナズ(Ashkenaz)であることを伺っている。ご先祖はオーストリア、バルト三国、ボヘミア(Bohemia)、ポーランドなどの地域を転々としていたそうである。そして定住したのがポーランドであった。ポーランドはユダヤ人にとって非常に住みやすい地だったという。だが時代は変わる。
ポーランドのユダヤ人であるが、第二次世界大戦の前後に正統派ユダヤ教徒の多くが差別や迫害から逃れるために、イスラエルやアメリカ合衆国へ渡った。多くの科学者や芸術家、金融業者、思想家、学者や医者などが含まれる。Jacob家もその中にあった。イスラエル共和国は建国において「メシア信仰」から距離を置き、政教分離という近代国家の原則を採用した世俗国家とされる。こうした考えは、超正統派ユダヤ教徒から批判されてきた。
また他方で非正統派ユダヤ教徒のポーランド人やさらに世俗的なユダヤ系ポーランド人の多くはポーランドに残った。時代は下りポーランドの民主化運動は1980年代に盛んになる。そして1990年、大統領に選ばれたのが「連帯」をスローガンにしたレフ・ワレサ(Lech Walesa)である。
民主化以後ユダヤ系のポーランド人は、自分たちの先祖の出自を表に出すようになっている。こうした民主化運動はポーランド社会のユダヤ系への偏見を取り除くのにも大いなる貢献をしたといわれる。
民族主義を復興し国家を築くべきというシオニズム(Zionism)を調べているが、内容はなかなか難しい。さまざまな血が混じり、宗教観の違いも政治に複雑に絡みいっそう事を難しくしている。だがホロコストの経験から、イスラエルの「戦って生き抜く」という方針は変わらないようである。