ナンバープレートを通してのアメリカの州  その四十四 ペンシルベニア州–Amishの文化と生活

アーミッシュには、(Ordnung)という戒律のような信仰告白があり、生き方の指針として次の教えを大切にしています。それは洗礼、人類愛、絶対平和、近代文明への非協調、聖書に従順といったことです。謙虚さ、家族、共同体、世俗社会からの独立などを大切にし、原則として人生の快楽を求めることは禁止されています。こうした教義からアーミッシュが、質素でつつましい人々(plain and simple people)と呼ばれる所以です。聖書の講釈においては厳格主義を貫きます。自由な解釈を許さないという立場です。ここで私どもが誤解していけないことは、アーミッシュはカルト集団とか禁欲的な集団ではないということです。良き農業者となることを喜びとする穏やかな人々です。

Buggy

教会生活のことです。教会堂という建物を持たず、隔週の日曜日に持ち回りでそれぞれの家庭で礼拝が執り行われます。大きな会衆が集まるときは、納屋を使うこともあります。このことからハウス・アーミッシュとも呼ばれます。歌われる聖歌は、16世紀のヨーロッパで迫害を受けていた再洗礼派によって作られたものです。無伴奏でユニゾン(単声)で歌います。礼拝を主宰する家では、いろいろな準備をし、礼拝後の昼食を振る舞います。その仕事は女性が受け持ちます。

アーミッシュ生活や文化の特徴は、服装などに表れます。質素な生地を使い自分たちで裁縫した服を着ます。男性や少年は、つばの広い黒い帽子をかぶり、吊り紐のついた黒いズボン、黒い靴下と黒い靴をはきます。女性や少女は、ボネット(bonnets)と呼ばれる白い帽子をかぶり、長いドレスと袖なしのマント(capes)、黒い靴下に黒い靴をはきます。ボタンは使わずフックを用いた自家製の服です。男性は、結婚すると顎髭を伸ばします。口髭は禁止されません。女性は髪を刈らずに後頭部で束ね、イアリングなどの飾りを身につけることは許されません。アーミッシュは、結婚すると生涯添い遂げます。離婚という概念がありません。

Barn Raising

隣人が総出で手伝う納屋の棟上げ(barn raising)がアーミッシュの伝統です。近隣から大勢のアーミッシュが集まって、納屋や家を建てるのです。女性達は、手伝う男達の食事づくりに専念します。アーミッシュの人々は写真を撮られるのを避けます。人々の姿は後姿か横顔が分かる位の写りとなっています。家の中でも家族や祖先の写真を飾ることはしません。「

Barn Raising