イリノイ大学(University of Illinois)は全米屈指の大学です。日本からも多くの留学生が学んでいます。日本から直行便で12時間、オヘア国際空港(O’Hare International Airport)に着くとそこはシカゴ、イリノイ州(Illinois)です。シカゴ(Chicago)は誰でもが聞いたことのある大都会です。
イリノイの州都はシカゴではなくスプリングフィールド(Springfield)です。エイブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)が生まれ育った町で知られています。アメリカは一番大きな街が州都になるとは限りません。例えばカリフォルニアは州都がサクラメント(Sacramento)です。サンフランシスコ(San Francisco)やロスアンジェルス(Los Angels)は遥かに大きな都市ですが州都ではありません。
さて、リンカーンのことです。アメリカ第16代の大統領です。その功績は人種差別運動の先駆者ともいうべき人とされています。その運度の伏線には、ハリエット・ストウ(Harriet Stowe)という小説家が書いた「Uncle Tom’s Cabin」があります。この作品で、当時の黒人の生活と差別の実態が全米の人々に知れ渡ることになります。差別への関心がやがて、アメリカを二分する南北戦争(Civil War)へ突入していきます。
南北戦争を主題にした小説がマーガレット・ミッチェル(Margaret Mitchell)の「風と友に去りぬ(Gone with the Wind)」です。アメリカ南部は綿花栽培が中心。畑には多くのが黒人労働者が使われていました。メイド役の黒人女性マミー(Mammy)が、一人娘の死で打ちひしがれる農場主レット・バトラー(Rhett Butler)を慰めるシーンがありました。帰還する兵士アシュレー(Ashley Wilkes)を見て、スカーレット・オハラ(Scarlett O’Hara)がかけ寄ろうとするのを押しとどめるのはこのメイドでした。
南北戦争が終わり、リンカーンは二分しかかったアメリカを一つにしようと呼びかけた有名な演説をします。後にゲティスバーグ演説(Gettysburg Address)と呼ばれる奴隷解放宣言です。イリノイ州のナンバープレートには「Land of Lincoln」と記されています。