旅のエピソード その6 「フライトアテンダントのジョーク」

フライトアテンダント(Flight Attendant) には、「スチュワード」(Steward)と「スチュワーデス」(Stewardes)がいます。男性と女性とで使い分ける単語です。今ではこの言葉は航空会社では使わなくなりました。スチュワードというのは、もともとは「仕える人」という意味です。仕える人になるための心掛けや礼儀作法のことをスチュワードシップ(Stewardship)といいます。

ある冬の真っ最中、ワシントンDC(Washington DC)からミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)の便に乗りました。座席で離陸を待っていると、スチュワードが出発の案内を始めます。窓からは地上の係員が翼に不凍液を噴射しているのが見えます。

ミネアポリスはカナダに近く、DCよりももっと寒い町です。「ただいまから当機はハワイのホノルルに向かいます。」乗客は一瞬キョトンとして、一斉に「やった、やった、、」と大騒ぎです。なにせ皆寒いミネアポリスに向かう人ばかりですから、常夏のハワイへは夢のような旅です。

彼はすまし顔で、「残念ながら、機長の判断でミネアポリスに行くことにします。」こんなユーモアは日本ではひんしゅくものでしょうが、アメリカではとても受けるのです。罰せられるどころか、「実に面白いユーモアだ」とニュースになる位です。

こんなこともありました。離陸の際にフライトアテンダントが「ただ今からこの飛行機は、、、、、本便は、、、、、、」行き先を言わないのです。「失礼しました。行き先を忘れました、、、ああ、、当機はボストンへ向かいます。」こんなすべった調子でも誰も非難しません。ユーモアですむのです。