ヨーロッパの小国の旅 その六十 モルドバ 

この国もあまり聞き慣れない国です。一体どこにあるのかをすぐには答えられません。以下、Encyclopaedia Britannicaで調べたモルドバ(Republica Moldova)の紹介です。

Large Christian Orthodox Church at the top of hill in Hancu Monastery, Republic of Moldova

東ヨーロッパに位置する共和制国家がモルドバです。内陸国であり、西にルーマニア(Romania)と、他の三方はウクライナ(Ukraine)と国境を接しています。モルドバは以前はベサラビア(Bessarabia)と呼ばれ1812年まではルーマニアの一部でした。その後オスマン・トルコ(Ottoman Empire)に編入され、第一次大戦まではロシア帝国(Russian Empire)の一部となります。やがてルーマニア帝国(Great Romania)に編入され、1940年から41年まではソ連の占領下となります。モルドバ人自治によるソビエト社会主義共和国となり1991年8月のソ連の崩壊により共和国の独立を宣言し、国名をモルドバとします。1992年に国連に加盟します。

Cricova 葡萄農場

1991年の独立以来、モルドバは4つの問題を抱えてきました。第一は地方自治の伝統がなかったために、地方政府が樹立出来ないことです。第二は地方自治の政治が無かったために、ソ連による高度の中央集権化で憲法を制定するのが難しいという問題です。第三は統制経済下にあったために自由経済の考え方が行き渡らないことです。農業も「集団農場」(Collective Farm)での共同経営(State Farm)が行われ、生産物は政府に売却したり組合組織による経営が行われていたからです。土地の個人所有や個人生産によって、生産性の低下や混乱が起こります。

第四は、モルドバの東部にありウクライナ国境に接するドニエストル(Transdniestria)が独立を叫び、1990年には独立戦争を始めます。1992年には停戦が成立し、ロシアの軍隊がドニエストルに治安維持のために駐留しています。ドニエストル地域は、モルドバの電力を供給していて、首都は何度も供給を閉ざされ、そのために国家の建設が滞ってきました。外国からの投資もなく、ヨーロッパで最も貧しい国といわれています。