ヨーロッパの小国の旅 その五十九 スロバキアとロビン・フッド

スロバキア(Slovak Republic)は、前回のスロバニアと国名が似通っていますが、れっきとした別の独立国です。北にはポーランド(Poland)、東にはウクライナ(Ukraine)、南にはハンガリー(Hungary)とオーストリア(Austria)、西にはチェコ(Czech)が位置しています。

首都のブラチスラバ(Bratislava)は、西南国境を縁取るドナウ川(Danube River)の河畔に位置します。ドイツ南部から東欧各国を含む10ヶ国を通って黒海に注ぐ重要な国際河川です。ブラチスラバは中世の城塞などが保存される美しい古都といわれます。

中央ヨーロッパと呼ばれる地域にあるこの国は、さまざまな歴史があるようです。10世紀にスラヴ人(Slavic)の国家であった大モラビア国(Moravia)が滅亡した後は,1,000年近い間ハンガリーの統治下に置かれます。16世紀にオスマン・トルコ(Ottoman Empire)が欧州に進出してくるとブダペスト(Budapest)が陥落してハンガリーの大部分がオスマン帝国に占領されます。そのためハンガリー王国の首都がブラチスラバに移っていた時期もあったようです。

Robin Hood
首都Bratislava

第一次世界大戦後の1918年10月にチェコスロバキア共和国(Republic of Czechoslovakia)として独立します。第二次世界大戦後の共産主義時代には重点的に工業化され,軍需産業や重工業が発展します。1989年11月のビロード革命(Velvet Revolution)後,1993年1月にチェコとの連邦を解消し,スロバキア共和国として独立します。チェコとスロバキアが平和裏に分かれたの形容して「ビロード離婚」(Velvet Divorce)とも呼ばれます。「欧州への回帰」を目標に2004年3月にNATO加盟し、同年5月にEU加盟を果たします。さらに2009年1月からユーロを導入します。