イスタンブルとソフィアの旅から その18 リラ修道院 その2 フレスコ画

リラ修道院は訪ね甲斐のある歴史的な遺産です。その中心は、聖母誕生教会(St. Mary Nativity Church)の壁や天井に極彩色で燦然と輝くフレスコ画(fresco)といえます。

Wall painting at Rila Monastery church. The monastery is the largest in Bulgaria

フレスコとは、「壁に漆喰を塗り、その漆喰がまだ「フレスコ(新鮮)」である状態で砂と石灰を混ぜて作ったモルタルで壁を塗って、その上に水だけで溶いた顔料で絵を描く方法」とあります。石灰がつくる結晶のなかに顔料の一粒一粒が閉じ込められるため、色が美しく、耐久性は抜群で非常に長期間、その色を保ち続けるのだそうです。

フレスコで想い出すのが、人類最古の絵画と言われるアルタミラの洞窟壁画(Cave of Altamira)です。我が国の高松塚古墳の壁画もそうです。時代はくだり、バチカン(Vatican)にあるシスティーナ(Sistine)礼拝堂にあるミケランジェロ(Michelangelo)が描いた「天地創造」、「最後の審判」、ラファエロ(Raphael)による「アテナイの学堂」、これらもフレスコ画です。

リラ修道院に戻ります。フレスコ画のモチーフはいうまでもなく聖書物語です。聖書の36場面が描かれています。礼拝堂内に入ると無数のイコン(icon)で飾られたイコノスタシス(iconostasis)という壁が目に飛び込んできます。金箔が施されています。この壁は「聖障」と訳されていて、正教会と東方諸教会の聖堂では、聖所と至聖所を区切るのにイコンで覆われたこうした壁が必ずあります。

Wall painting at Rila Monastery church. The monastery is the largest in Bulgaria

神田にある通称ニコライ堂は、東京復活大聖堂(Holy Resurrection Cathedral)と呼ばれます。東方正教会の流れをくみます。聖堂内のイコノスタシスには、金と白金箔がはられています。ビザンチン様式のこの建物はあたりの景色に際立っています。神田川に架かるアーチ型の【聖橋】はこの聖堂のデザインと関連があるのではないでしょうか。