統計で騙す方法 その十 ウソの統計に対する武装

Last Updated on 2025年7月4日 by 成田滋

いろいろな統計を例に挙げてウソに騙されがちな事案を説明してきました。最後にいかにしておびただしいペテンやウソから正しい理解に導くかを考えていきます。

 まずは統計の中味に気をつけることです。今大阪で万国博覧会が開かれています。そして毎日の入場者数を発表しています。「7月1日(火)の入場者数は、一般87,000人、関係者18,000人、合計105,000人。場外への救急搬送件数は3件だった。」多くの一般の人とは、企業が博覧会協会から依頼されて購入した券もらった従業員や家族といわれます。自分から万博に関心があって、出かけた者ではないようです。「折角貰ったんだから、行ってみるか、、」といった気分で出かけたのでしょう。関係者の18,000人は、入場券を購入していない人です。何故、関係者の入場数を公表する必要があるかです。入場者数を多く見せるために、都合のよいデータを使いたがるのです。会場では7月1日に、1,000万人超えのセレモニーが行われたとか。関係者を含めての数です。本来ならば、入場券を持つ人の数でセレモニーをするべきところ

 博覧会協会は6月20日に会見を行い保健所が推奨する精密な「培養法」という方法で検査した結果、ウォータープラザの海水からは「最初からレジオネラ属菌がほぼ検出されなかった」と結論付けました。そして協会は「安全確保を最優先に考え水上ショーを中止した。健康危機管理上、適切な判断だと思う」と語ります。レジオネラ属菌が見つからなかったなら、何故水上ショーを中止するのかです。検査結果を信頼しないかのような発表です。入場者数を増やしたい協会ですが、水上ショーで観戦者がレジオネラ菌の入った水しぶきをうけ肺炎、高熱、咳、呼吸困難などの症状を引き起こす可能性があるので、苦渋の発表なのでしょう。

 消費税減税をうたうのは消費者なのか、それとも一般の小売業者なのかです。恐らく両方でしょう。物が売れやすくなり消費が増加しするのですから、両方とも消費税減税には諸手を挙げるはずです。消費税減税に反対するのは、財務省の官僚であり、彼らからレクを受ける国会議員です。税や財務の仕組みに疎い議員のなんと多いことか、、それをほくそ笑んで手玉にとるのが財務省の官僚なのです。

所得の分布

 不適切な統計を使う例は、算術平均、中央値、最頻値にあることをこれまで説明してきました。多分、最もわかりやすいというか、便利なので平均を使うことでごまかすことができるのです。日本人一世帯の所得を発表するのに平均を使うと、あたかも所得が高いように見えるのです。世帯当たりの収入は、【最頻値<中央値<平均】のように分布することが判明しています。それ故、平均を使うのです。これが狡猾な発表となるゆえんです。

 次に、「誰がそう言っているのか」を見極めることです。例えば、「朝日新聞」と「しんぶん赤旗」の記事を読んだとします。「朝日新聞」のある報道に東大大学院教授のコメントが、「しんぶん赤旗」の記事に私立大学の教授のコメントがあったとします。どちらが「権威ある筋」に思えるでしょうか。「誰がそう言っているのか、、」と質問するとき大学教授とか各種の政府審議委員といわれる「ç」の肩書きに騙されてはいけないのです。

 過去3年間のうちに、ガンによる死亡率が増えたという報告があります。ただし、その外的な要因は何かということが分からなければ容易に結論をだすことは困難です。人の寿命は延びています。高齢者が多くなるとガンにかかりやすくなるのです。従って、死亡率よりも志望者数を見ることによって、以前よりガンにかかりやすい人が増えたという事実を知らねばなりません。同じことが高齢者のドライバーの事故の発生割合があります。高齢者のドライバーがさらに年をとると、より事故を引き起こす率は上がります。以前より事故を起こりやすい人が多くなったというだけのことです。ことさら大袈裟に発表する性質のものではありません。当たり前の現象を誇張したりねじ曲げてはいけません。

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