質問:アメリカの「行動介入計画」の具体的な中身や、北欧の「パーソナル・アシスタント制度」の詳細について教えてください。
回答:アメリカの行動介入計画と北欧のパーソナル・アシスタント制度は、どちらも「本人の尊厳を守りつつ、社会参加を支える」ための非常に強力なツールです。それぞれの具体的な仕組みを深掘りします。
アメリカにおける行動介入計画は、単なる「注意書き」ではなく、法律(IDEA)に基づいた法的効力を持つ個別設計図です。機能的行動アセスメントによって「なぜその行動をするのか?」を特定した後、以下のような構成で作成されます。
まずはターゲット行動の定義をすることです。「暴れる」といった曖昧な表現ではなく、「机を叩く」「椅子を投げる」など、誰が見てもわかる客観的な動作で定義します。次に、トリガーとなる先行事象への対策を講じます。 行動が起きる前の環境調整を行うのです。例えば、計算問題でパニックになる場合があるとしますと、「問題を1問ずつ切り分けて渡す」とか視覚的なタイマーを使って課題の終わりを指示してやるのです。そして、代替行動を教えるという段階です。このフェーズは 最も重要な項目であり、不適切な行動の代わりに、自分の要求を伝える方法を教えるのです。例として「休憩したい」という表現を教えるのには、言葉やカードで伝える練習をするのです
望ましくない行動が起きてしまった時、周囲がどう反応するかを統一しておくことも大事です。望ましくない行動が起こったときへの対応です。例えば、「不適切な行動には注目したり反応せず、適切な方法で要求を伝え直した瞬間に最大級に褒めてやるのです。このような対応によるデータの収集によって 定期的にグラフ化し、計画が有効か科学的に検証し、見直されたりします。
次にスウェーデンの障害者支援法(LSS)などを紹介します。これは「パーソナル・アシスタント」(重度訪問介護)制度と呼ばれ、「重度の障害があっても、他の人と同様の生活を送る権利」を保障する画期的な仕組みです。障害者支援法は、重度障害者が地域で「普通」の生活を送る権利を保障するため、1994年に施行された包括的な福祉法です。入所施設から地域生活への移行を推進し、パーソナルアシスタンスなどの手厚いサービスを権利として提供する特徴があります。
アシスタントは「指導員」ではなく、あくまで本人の意思に従って動く「手足」と定義されます。24時間体制の個別保障が特徴で、 強度行動障害などで常時見守りが必要な場合、1人に対して複数名のアシスタントが入れ替わりで、自宅や外出先、学校など、あらゆる場面に同行します。
利用者は自治体から支援金(現金給付)を受け取り、自分でアシスタントを雇うことができます。「誰に、いつ、どこで、何を手伝ってもらうか」を本人、又は家族の支援を得て決定します。この制度があるため、強度の行動障害があっても施設に入所せず、一般のアパートで一人暮らしをしたり、地域で働き続けたりすることが可能になります。いわゆる「脱施設化」の考え方が徹底されています。
アメリカと北欧の2つの制度の大きな違いを要約すると以下のようになります。
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項目 | アメリカ(行動介入計画) | 北欧(アシスタント制度)
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主な目的 | スキルの習得・行動の変容 | 基本的人権の保障・QOLの維持
アプローチ| 教育的・科学的(学習理論)| 社会的・福祉的(人権モデル)
キーワード| 適切な行動を「教える」 | 生活を「支えきる」
アメリカは「本人が変わるためのサポート」を重視し、北欧は「本人のままでいられるための環境」を徹底的に提供する、という色分けができます。なお、北欧では、アシスタントと一緒にコンサートに行ったり、旅行に行ったりすることも「普通の生活」として公費で認められます。人的資源を活用するのが特徴です。これは日本の「移動支援」よりもはるかに自由度が高い仕組みといわれます。

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