CopilotとChatGPTの質問に対する回答の検討

Last Updated on 2025年4月12日 by 成田滋

はじめに

最近各分野で大いに注目され、利用され始めているのが生成AIです。本稿では同じ言語モデルをベースにした生成AIである「Copilot」と「ChatGPT」に二つの質問をしその提示回答の内容を、Wikipediaなどのサイトからの情報を基に、この生成AIの特徴や違いを調べてみることとします。

 CopilotとChatGPTは、どちらも生成AIと呼ばれています。OpenAIが開発した「GPT」シリーズの言語モデルをベースにしているとされています.。ChatGPTでの最新モデルは「GPT-4o」で、Copilotでは「GPT-4o」より一つ古いモデルである「GPT-4 Turbo」までをユーザーが利用できます。今回使用した無料版のChatGPTは「GPT-4 Turbo」と呼ばれています。「GPT-4 Turbo」は、提示される情報の参照元や情報ソースは記載されません。「Microsoft 365 Copilot」ももちろん無料で使用でき、情報の参照元や情報ソースが表示されます。

■二つの生成AIの質問に対する回答例

【質問1】今年の連休の穴場はどこでしょうか。その理由はなんですか。

■Copilot:
 連休の混雑を避けて楽しめる穴場スポットをいくつかご紹介します!

  1. 白金青い池(北海道) 美瑛町にある神秘的な青い池。5月~7月上旬は特に青く見えると言われています。観光客が比較的少なく、静かに自然を満喫できます。
  2. 八食センター(青森県) 新鮮な海産物が楽しめる市場。購入した魚介類をその場で炭火焼きにできる「七厘村」が人気。GWにはイベントも開催されます。
  3. 奥四万湖(群馬県) 「四万ブルー」と呼ばれる美しい湖。春~初夏の新緑と湖水のコバルトブルーのコントラストが絶景。カヌーやSUPも楽しめます。
  4. 安比高原牧場(岩手県) 小岩井農場ほど混雑せず、しぼりたての生乳を使ったソフトクリームが絶品。広々とした高原でのんびり過ごせます。
  5. 青ヶ島(東京都) 八丈島よりさらに南にある離島。火山地形や満天の星空が楽しめる、都会の喧騒を忘れられるスポット。  これらのスポットは、観光客が比較的少なく、自然や地元の魅力をゆったり楽しめるのが特徴です。どこか気になる場所はありましたか?

■ChatGPT:
 ​2025年のゴールデンウィーク(4月26日~5月6日)に、混雑を避けつつ魅力を堪能できる「穴場」スポットをいくつかご紹介します。​

  1. 島根県・隠岐諸島
     隠岐諸島は、本州からフェリーでアクセスできる離島で、手つかずの自然が広がります。​特に「ローソク島」は、夕日が灯りのように見える絶景スポットとして知られています。​観光客が少なく、のんびりとした島時間を楽しめます。​
  2. 富山県・氷見(ひみ)
     氷見は、立山連峰と海の美しいコントラストが魅力です。​「雨晴海岸」からの眺めは絶景で、晴れた日には雪をかぶった山々が浮かんで見えます。​新鮮な海の幸も堪能でき、混雑を避けながら美味しい食事を楽しめます。​
  3. 長野県・上高地(かみこうち)
     上高地は、新緑が美しい季節で、ハイキングに最適なスポットです。​アクセスが限られているため、京都や東京のような大混雑にはなりません。​大自然の中でリフレッシュでき、ホテルや山小屋もあり、宿泊しながらゆっくり楽しめます。​
  4. 高知県・柏島(かしわじま)
     柏島は、日本とは思えないほどの透明度を誇る海が魅力です。​シュノーケリングやダイビングが楽しめ、観光客も少ないため、静かに過ごせます。​新鮮な魚介類も豊富で、グルメも楽しめます。​
  5. 山形県・銀山温泉(ぎんざんおんせん)
     銀山温泉は、大正ロマンの雰囲気が漂う温泉街で、ゴールデンウィークの時期は比較的空いています。​ノスタルジックな温泉街で、夕暮れ時のガス灯が灯る風景はロマンチックです。​静かに温泉を楽しめる穴場スポットです。​  これらのスポットは、観光客が比較的少なく、自然や文化をゆっくり堪能できます。​ゴールデンウィークの旅行先として検討してみてはいかがでしょうか。

【質問2】1900年のポーツマス条約で日本はロシアから何を獲得出来ましたか。

■Copilot:
 ポーツマス条約は1905年に締結されたもので、1900年ではありません。しかし、この条約によって日本はロシアからいくつかの重要な権利や領土を獲得しました。日本が得た主なものは以下の通りです:

・南樺太(サハリン)の割譲:北緯50度以南の樺太が日本の領土となりました。
・韓国における優越権の承認:ロシアは日本の韓国支配を認めました。
・関東州(遼東半島)の租借権:旅順・大連を含む地域の租借権を獲得しました。
・南満州鉄道の経営権:ロシアが持っていた鉄道の権利を日本が取得しました。
・沿海州などでの漁業権:ロシアの沿海州付近で日本の漁業活動が認められました。

 ただし、日本は戦争賠償金を得ることはできず、これに不満を持った国民による日比谷焼打ち事件などの暴動が発生しました。この条約は日本の国際的地位を大きく向上させる一方で、国内では賠償金を得られなかったことへの不満が高まりました。歴史の転換点となったこの条約について、さらに詳しく知りたいですか?

■ChatGPT:
 1905年のポーツマス条約(ご指摘の「1900年」はおそらくタイポで、正しくは1905年です)は、日露戦争(1904–1905年)の講和条約です。この条約により、日本はロシアから以下のような利益・権益を獲得しました:

🔹 日本がポーツマス条約でロシアから獲得したもの:
・樺太の南半分(北緯50度以南)
 日本が戦争中に占領した樺太南部を正式に割譲。これが「南樺太(からふと)」と呼ばれ、日本の領土に。
・韓国に対する優越権の承認
 ロシアは、日本が韓国において「指導・監督・保護」の役割を担うことを認めた。これにより、後の韓国併合(1910年)への道が開かれました。
・遼東半島の租借権(南部)
 ロシアが清から租借していた遼東半島南部(旅順・大連など)を、日本が引き継ぐ。これにより、日本は大陸での軍事・経済的拠点を手に入れました。
・南満州鉄道の権益
 ロシアが建設・運営していた長春〜旅順間の南満州鉄道とその付属施設を日本が引き継ぐ。
・沿海州での漁業権
 沿海州やカムチャツカ半島沿岸での日本人漁民の漁業権が認められた。

 逆に日本が得られなかったものは戦費の賠償金で、ロシアの強い拒否により得られませんでした。当時の日本国内では「賠償金なしか!」と怒りが広がり、日比谷焼打ち事件(1905年)という暴動も起こりました。

情報の取得方法

 ChatGPTは、2024年6月までの情報を取得しており、そのデータをもとに回答を生成します。ただし、有料版の「GPT-4o」にはブラウジング機能が搭載されており、検索エンジンを利用して、インターネット上から最新の情報を取得することが可能になっています。他方、CopilotにはChatGPTのような情報の学習期間という概念がありません。検索エンジン「Bing」を利用して情報を取得する仕組みになっています。そのため、最新の情報を活用した回答を得ることが可能になっています。

情報ソースの表示

 Copilotに質問をすると、回答には参照元のURLが表示されるという便利な機能があります。URLをクリックすると元の記事へリンクするので、情報の真偽や詳細を確認することができます。ChatGPTの無料版にはこの機能がありません。有料版はCopilotと同様に情報ソース付の回答を得ることができます。

送信できる文字数

 Copilotでは、1回のチャットで送信できる文字数は約4,000字までとなっています。これを超えると、内容が自動的に分割され、複数回に分けて出力されます。ChatGPTでは、トークンという生成処理するテキストの基本単位が使われ、英語であれば1単語あたり1トークン、日本語では1文字あたり1~3トークンとされています。ChatGPTの1回の送信につき約4,096トークンまで入力可能で出力の上限は、約4,096トークンです。どちらのツールも、上限を超える場合はテキストを分割して送信するか、プロンプトを工夫して段階的に入力する必要があります。

全般的な印象

 無料版のAI同士で比較すると、ChatGPTのほうが生成と表示速度が速いようです。Copilotは利用できる機能が多く、高性能と言えます。それだけに生成速度が遅くなると考えられます。ただCopilotではChatGPTでは有料版で提供される機能の一部を無料で利用できるので「コストをかけずに高機能のAIを試したい」という場合にはCopilotがおすすめです。ChatGPTは文章生成やアイデア出しといった創作の生成を得意としています。

 他方、CopilotはBingの検索エンジンを活かした情報収集の速度と精度が優れています。ただし、他の生成AIと同様に、出力される情報は必ずしも正確とは限らず、誤った内容や既存コンテンツのコピーなどが生成される可能性もあります。Copilotは、Microsoft OfficeアプリであるWord、Excel、PowerPoint、Outlook、Teamsなどに統合されています。これにより、文書作成、表計算、プレゼン資料作成、チームとの共同作業が円滑に行えます。例えば、 Wordで文書を作成する場合、アイデアを提供したり、文章の修正を提案したりできます。

終わりに

 私は画像の認識・生成については、生成AIを試しておりませんので、解説はできません。Copilotは、質問にないような回答をする傾向があります。しかも肝心な説明が足りない面もあります。ChatGPTは絵画的で写実的な記述を感じます。説明が詳しく読んでいて気持ちが良いです。年代も正確に明記しながら、間違って記述しているのではとやんわりと指摘しています。

 ChatGPTは、より汎用的な会話に特化しており、情報提供や質問回答、雑談が得意とされています。例えば、映画や本の推薦、さまざまなトピックについての対話です。加えて応答の柔軟性があり、コード生成や複雑な質問への回答に対応可能です。科学的な質問にも回答してくれます。


参考までWikipediaから以下のコメントを引用しておきます。

Copilotは、ChatGPTと同じ言語モデルを使用しているが、以下のいくつかの点で異なる。

・ChatGPTは、大量のデータを使用してトレーニングされたニューラルネットワークを使用している。他方、Copilotは、マイクロソフトの内部データとWeb検索を使用している。ただし、ChatGPTでも無料でBingを利用して検索を行い回答することが可能である。

・ChatGPTは、より自然な対話を生成することができる。他方、Copilotは、情報提供に特化している。

・ChatGPTは、より多様なトピックに対応することができる。他方、Copilotは、Microsoftの内部データに基づいているため、特定のトピックに関する情報を提供することが得意である。

・ChatGPTは、より高度な自然言語処理技術を使用している。他方、Copilotは、より基本的な自然言語処理技術を使用している。

・ChatGPTは、より複雑な対話を生成することができる。他方、Copilotは、より簡単な対話を生成することができる。

・ChatGPTは、より多くの言語に対応することができる。他方、Copilotは、英語、中国語、日本語、スペイン語、フランス語、ドイツ語などの自然言語に対応している。

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