「税」という漢字

今、国会では盛んに増税、減税、そして廃止論が論議されています。どうしてこのような事態になっているかが気になり、税金の歴史やその正体とはなにかを調べています。

 古代エジプト時代にはすでに、賦役の提供を中心とした租税、ギリシア、ローマでは財産税と間接税の芽生えもあったといわれています。確か中学生のとき飛鳥時代に大宝律令という法律によって、「租・庸・調」という税や労役をかける税のしくみのことを習いました。「租は男女の農民に課税され、税率は収穫の約3%位」だったようです。

『世界古典文学全集』より引用

 「税」という漢字の意味です。文字通り漢字の「税」はのぎへん(ノ木へん)の「禾」と「兌」から成ります。漢和辞典によりますと、「禾」は穂を実らせた穀物の象形だと言われています。そして、「禾」「の「ノ」の部分は、穀物の穂が垂れている様子とあります。税の右側の「兌」は、もともと抜き取るとか脱ぐという意味と言われます。そうしますと、「税」とは実った稼ぎを抜きとる、という意味ということになります。

 私たちは通常何気なく「税を払う」とか「税を納める」という言い方をします。ですが、この二つの表現は明確に異なります。「税を払う」とは、例えばペットボトルの水を買ったときにその一部の10円を払うことです。他方「税を納める」とは、決められたこと、例えば収入があれば、所得税法などで規定された額を納める、ということです。納めるのは、何らかのモノー対価が手にはいらない場合の行為です。少し難しくいえば、政府は所得から税を集める租税債権を持ち、税を納める者は債務者となります。この場合、債務者は政府からの反対給付はありません。

 社会保険料の場合を考えてみます。「保険料を払う」か「保険料を納める」のどちらでしょうか。社会保険金は病気や事故の時に支払われるものです。「保険料を払う」ことによって対価としての給付ー保険金を受けることができるのです。ですからこの場合は、モノを買うときのように「保険料を払う」というのが正しいと思われます。いずれにせよ、私たちはこの世に暮らす限り、税から逃れることはできないようです。

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