Last Updated on 2016年2月4日 by 成田滋
本を読むとき、テレビを観るとき、周りの人と対話するとき、講演を聴くとき、あらゆる日常の営みでなにか心に響くメッセージを感じるときがあります。それを言葉で表してみると、実に尊い思い出となります。
一つの私的なエピソードを紹介します。長男がまだ4歳くらいのときです。当時私は札幌で両親と同居しておりました。あるとき、親戚の結婚式があり、両親は孫 (長男) を連れて静岡に出かけました。美保の松原で景色をみているとき、父親がどうしてクロマツだけが生えているのかとつぶやいたのだそうです。それを聞いていた孫が、「おじいちゃん、クロマツは海に、アカマツは山に生えるんだよ、」 といったのだそうです。
クロマツが耐潮性が強く海岸線付近に多く生育するのに対して、アカマツはどちらかといえば内陸に産します。アカマツ林は、マツタケを育てる林でもあります。アカマツとマツタケは相利共生の関係であり、マツタケが生えるような環境の方が生えない環境のものより寿命が長いともいわれています。そいういえば、八ヶ岳山麓にアカマツの大規模な群落が見られます。八ヶ岳登山の楽しみです。
「北海道にはアカマツしかないのにどうして、孫はクロマツのことを知っていたのかね、、、、」と首を捻っていました。両親はこの孫のエピソードをあちらこちらで吹聴していたきらいがあります。孫は本が大好きでした。片っ端から読み聞かせられたことを記憶していたようです。
「三つ子の魂、百まで」といいますが、父はこのクロマツにまつわる孫の言葉を96歳になるまで思い起こしていたのを覚えております。9年前に他界した父。孫は46歳の父親になって二人の息子を育てています。
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