世界を旅する その十六 アイルランド その5 「アイリッシュ・ディアスポラ」

Last Updated on 2019年8月6日 by 成田滋

「アイリッシュ・ディアスポラ」 (Irish diaspora) は、アイルランド島外に移住したアイルランド人をさす言葉です。「ディアスポラ」の語源ですが「散らされた民」といって、イスラエルを離れて異邦の地で暮らす離散したユダヤ人を指すギリシア語です。典拠はイザヤ書(Isaiah)。その49章6から9節などに記述があります。『 わたしは捕えられた人に「出よ」と言い、暗きにおる者に「あらわれよ」と言う。彼らは道すがら食べることができ、すべての裸の山にも牧草を得る。』Isaiah49:9

1845年から起こった国難にジャガイモ飢饉(Potato Famine)があります。この食糧事情などの悪化によってアイルランド人口の少なくとも20%が餓死および病死したといわれます。ジャガイモ飢饉によって、人口の10%から20%が世界各国に移住します。移住先としてはアメリカ合衆国、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドです。現在の合衆国では、アイリッシュは約3,600万人、総人口の12%を占めるといわれます。今でいえば難民といえるでしょう。

Potato Famine

現代の「ディアスポラ」の一例は、モン族(The Hmong)でしょう。軍事政権初期にミャンマー国内が内乱状態に陥いると、独自の王国を復古させようとする運動は弾圧され、タイ北部に逃れた数多くのモン族が難民がタイ側へ脱出します。その後アメリカのミネソタ州やウィスコンシン州に難民として受け入れられています。

モン族